第6話
「泣かんといてや。」
「えっ何が。」
「翠さん、泣いとるよ?」
創也くんが私の涙を拭う。指に付いた雫をペロっと舐めた。
「うわ。モテる男がやることだ。」
「笑うた。その方が、嬉しいで。我も。もっと見して。」
「それ以上近づくの許さないから。」
「えー。今はキスの流れやろ。」
「どんな流れよ。あー恐ろし。これだから創也は。」
「呼び捨てや。ヤッター!!もっと呼んでや翠。」
その目はずるいと思う。ちゃっかり私のことも呼び捨てだし。
「創也。」
「なぁに〜。翠。」
「あんたがもっとって言ったんでしょ。」
「そうやけど。そこは好き〜とか愛してるとかやろ。」
「はぁ。調子乗るなよ。」
「ごめんて。許してや、翠。」
いつの間にかキスの距離に近づいていた。腰を抱かれて頭を固定されてる。
「つ…………。」
「あは。真っ赤やね。」
「あんたのせいでしょ。離しなさいよ。」
「ヤダね。」
「誤解されたらどうすんの?」
「俺は誤解されたい。翠は俺の事どう思ってる?答えたら離してあげる。」
「どうもこうも、無いわよ。」
「わぁ。翠の心臓はやない?身のためや、はよ答えんかい。」
「好きよ。」
終始、創也の目は開いていた。
「やっとやね。両思いやな。」
リップ音が静寂に響く。軽く触れるだけのキス。やがて創也は離れていく。
「翠。これだけは約束して。」
「なに?」
「これ以上、自分を傷つけないって。」
今まで以上に真剣な目だ。
「うん。創也がそう言うなら。」
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