このジジイ、最強につき!
noah太郎
プロローグ
すでに目の前には暗闇が続いている……
耐えきれなかった……もっと準備していれば……
そのことが悔やまれて仕方がない……
朽ちゆく体……
もはや手遅れか……
体の蘇生が追いついていない……
どうやら、私はこのまま消え去る運命らしい……
だが……どうにかしてコレだけは守り通さねばならない……
コレは集めさせてはならない……
絶対に誰の手にも渡してはならないのだ……
全てが揃えば、彼女はまた復讐のために動き出すだろうから……
だが…………私にはもう時間がない……
……
……
……
光が……鮮やかな光が見える……
なんとも輝かしい才能に恵まれた光……
アレならば……おそらくは私の意思を……願いを叶えてくれるかもしれない……
あれだけの才に恵まれた者は……この世界で見たことがない……
だが……油断はできない……
私の魂の一部を……アレに刻もう……
そうすれば……全てが揃う事は防げるはず……
時間はかかるが……誰の手にも渡る事なく……守れるはず……だ……
……
……
もう……長くはない……
どうかアレが……最後までわたしの意思を……
……
繋いでくれる事を……
……
願う……
◆◆◆
目の前に、信愛すべきふたつの双丘が映る。
耳元で響く甘い声色。
それと同時に、柔らかさと弾力を併せ持つ双丘が揺れる。その姿に心の底から歓喜が湧き出していく。
双丘がひとつ、またひとつと姿を現し、自分の周りを埋め尽くしていくと同時に、甘い声がさらに響き渡る。
多種多様な彼らに深く深くお辞儀し、垂れていた頭をあげると今度は敬愛を込めて敬礼する。
心が幸せに満ち溢れ、体が軽く感じられる。
拡がる花畑の上をスキップして進めば、双丘たちが自分を歓迎するかのように揺れ動く。
その足取りはまるで羽のように軽く、自分はどこまでも行けるのだと確信する。
……
……
……
だが、突如として黒い影が辺りを包み始めた。
驚いて立ち止まると、足元から黒い影が待っていましたとばかりに勢いよく溢れ出す。
それはまるで底なしの沼のように自分を中心に大きく拡がっていき、いつしか美しい花々や双丘たちはその姿を消していた。
足元に絡みつき、まるで自分を引き込もうとするかのようにへばりつくその影に悍ましさと恐怖を覚え、なんとかその場を飛び出して必死に逃げ惑う。
息が切れ、心臓が張り裂けそうになりながらも、影から逃れようと必死に走り続けるが、影はそんな自分を嘲笑うかのようにいとも簡単に追いついてくる。
気づけば影に沈みゆく体を見て、さらなる恐怖が襲う。
ゆっくりと、それでいて確実に飲み込まれていく自分の様子に絶望が心を支配する。
残すところは頭のみ。
すでに口と鼻は飲み込まれ、影はすでに視界にまで及んでいる。
もがき、両手を掻き分けながら必死に抵抗するが、もはやなす術はなく体は闇へと沈んでいく。
……
だが、諦めかけたその時だった。
暗闇に包まれた視界に一筋の光が見えたのは……
その瞬間、俺の意識は途切れた。
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