何故、マスコミは配慮できないのか?

星咲 紗和(ほしざき さわ)

第1話 マスコミの役割とは何か

マスコミとは、本来どのような役割を果たすべきものなのでしょうか。歴史を振り返れば、報道機関は、政治や社会の不正を監視し、国民に正しい情報を伝える「第四の権力」として機能してきました。しかし、現代のマスコミを見ると、その役割が大きく歪められているように感じられます。


例えば、重大な事件や大災害の報道において、被害者やその家族に執拗にインタビューを行う姿を目にすることがあります。「今の気持ちは?」という問いを投げかけられた人々は、涙をこらえながら答えるしかありません。その姿を映し出す映像が何度も放送される。果たして、これが視聴者にとって必要な情報なのでしょうか。それとも、単なる感情の消費に過ぎないのでしょうか。


本来、報道とは国民の知る権利を満たすためのものです。しかし、視聴率や広告収入が報道内容に影響を与える現状では、その目的が変質しているように思えます。悲しみの中にいる人々をカメラで追いかけ、その姿を映すことで、本当に社会が良くなるのでしょうか。


また、視聴者の側にも問題があります。悲劇的なニュースやセンセーショナルな映像は注目を集めやすく、それが結果的に視聴率向上につながります。つまり、マスコミだけでなく、私たち視聴者もまた、報道の在り方に影響を与えているのです。


本話では、まず「マスコミの役割とは何か」を改めて考えました。次回は、具体的な事例を挙げながら、被災者や遺族への取材がどのような影響を及ぼすのかを掘り下げていきます。報道の本来の役割に立ち返るために、今こそ「配慮」という視点を持つ必要があるのではないでしょうか。

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