第5話 堀川くんと磯野家の絆

堀川くんは今日も磯野家を訪れていた。しかし、いつもの突飛な提案や奇行ではなく、彼は少し神妙な表情をしていた。


堀川くんの告白


「磯野さん、僕は今日で最後の提案をしに来ました」


ワカメが驚いて尋ねた。


「最後の提案って、どういうこと?」


「僕ね、家族の大切さについてずっと考えてたんだ。でも、自分の家族とはどうしてもうまくいかないことが多くて…」


その言葉に、ワカメは普段は明るい堀川くんが見せる初めての弱さを感じた。


「だから僕は、君たち磯野家みたいな温かい家族が羨ましかったんだ。それで、いろいろなアイデアを持ってきて、少しでもみんなの仲間に入れてもらおうとしたんだよ」


堀川くんの言葉に、ワカメは胸がじんと熱くなった。これまでの彼の行動が、ただの奇行ではなく孤独から来ていたのだと知ったからだ。


サザエさんの対応


その話を聞いたサザエさんは、堀川くんに優しい笑顔でこう言った。


「堀川くん、磯野家はあなたを家族みたいに思っているわよ。確かに時々びっくりさせられるけど、あなたがいてくれると家の中が明るくなるもの」


「本当ですか?」


「もちろん! あなたの奇抜なアイデアは驚かされるけど、それが家族の会話のきっかけになることも多いのよ」


堀川くんの顔がぱっと明るくなった。


カツオとの協力


一方、カツオも何かしてあげたいと思い、こっそり堀川くんに提案した。


「堀川くん、最後の提案って言うなら、一緒に面白いことやろうよ」


「面白いこと?」


「うん! お父さん(波平)の大切な盆栽を飾り付けて、みんなで驚かせよう」


「それは…きっと素晴らしいアイデアだね!」


堀川くんとカツオは夜遅くまで作業を続け、波平の盆栽に小さな飾りをたくさん取り付けた。ミニチュアの動物や、紙で作った小さな家など、見たこともないような「テーマパーク風の盆栽」に仕上げた。


波平の反応


翌朝、盆栽を見た波平の怒りが爆発した。


「誰だ! 私の盆栽をこんなふざけた姿にしたのは!」


しかし、堀川くんとカツオが「お父さんにもっと楽しい気持ちになってほしくて作ったんです」と正直に言うと、波平は一瞬沈黙し、渋い顔でこう言った。


「…まあ、確かに面白いことは面白いな。ただし、二度とやらんでくれ」


その場にいた家族全員が大笑いした。


夕日の中で


その日の夕方、堀川くんはワカメと並んで磯野家の庭に座っていた。


「磯野さん、僕はこれからも自分らしく生きていくよ。でも、もしまた困ったことがあったら、君たちに相談してもいいかな?」


「もちろんだよ、堀川くん。私たちは友達だから」


「ありがとう」


堀川くんは静かに笑い、磯野家を後にした。その背中はいつもより少しだけ大人びて見えた。


次回予告(最終話らしく)


「次回、サザエさん――じゃなかった、これでおしまいです! 堀川くんが巻き起こした数々の騒動は、私たちに笑いとちょっぴりの感動をくれましたね。最後の堀川くんの冒険、ぜひまた思い出してください。それでは、またどこかでお会いしましょう!」


読者へのメッセージ


「堀川くんはその奇妙さの中に純粋さを持ち、磯野家との関わりを通じて温かさを届けてくれました。サザエさんの世界は終わらないけれど、この物語を読んでくださったあなたの心にも、少しでも笑顔を届けられたなら嬉しいです。また、日常の中でちょっとした冒険を見つけてみませんか?」

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堀川くんの奇想天外な日常 湊 マチ @minatomachi

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