第28話朝から2人の謎の符号にもどかしさを感じる
「あ、お得意様起きたんだ。
おはよ、おれだとコーヒーしか出せないけどどうする?」
「おう、眠気覚ましに1杯頼むわ。
お前よくすんなり起きて目の疲れる作業出来るな?」
「ははっ、これは慣れだよ慣れ。とりあえず今さっき朝マック買ってきたから食っとけよ」
情報屋がそう言ってかなり大きな袋を持って渡してくる。
「……ちと多くねぇか?
情報屋の食う分もあるよな? コレ」
「そうだね。お得意様が先に好きなのチョイスしといてくれよ。
残った分おれが食う予定だからさ」
「……思った以上に結構食うんだな、お前。
俺の様に戦闘で動いてる訳でもねぇのに、太ってねぇのが謎過ぎるぞ」
「あはは、栄養の行先なんぞ知らんなぁ。
どーせ脳に大半の栄養もエネルギーも持ってかれてるんだろうよ」
「お前なら有り得るって思っちまったわ。
おい、俺の食う分は出したから返すぞ」
「サンキュ! おれは作業しながら食うから気にしないでくれ」
「…おう」
しばらくお互いモソモソと食いながらキーを打つ音が響いてると、情報屋がポツンと雑談代わりにある事を呟き始めた。
「そーいやさ、この間からよく分からない違和感が付き纏って来るんだよね〜。
何を見てそう感じたのか分からなくてさ?
正直お手上げなんだよね」
「んぶほぉ!? お前もか!?」
「ん? お前もってどう言う事?」
傭兵は思わぬ話題のネタ振りに思わずドリンクにむせて情報屋をガン見する。情報屋の方は言われた言葉に疑問を浮かべるばかりである。
「いや、俺も何日か前から原因不明の違和感が酷くてな。
そんな状態で戦場を彷徨く気分にもなれねぇから日本に帰って来たんだわ」
「ほーそう言う理由で帰国して来たのか。
それにしても変だな、何で違和感を感じ始めた日にちが近いんだ?」
「お? 本当だな。確かに感じたタイミング近ぇな。
こいつぁ、どう言う符号だ?」
「おれに聞かれても困るって。いまだに違和感の手掛かりすら掴めてないってのに」
「それもそうか。さーて、この街にいる間はどうしようかねぇ?
暇潰しにキナ臭い噂のとこ探るのも悪くねぇが、流れの変装ミュージシャンになってゲリラライブすんのも悪くねぇなぁ」
情報屋の作業を眺めながら傭兵はそう呟いた。
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