第18話怒れる傭兵に愚者は命を狩られる(バカ視点)☠
「ちくしょう! そんなに悪い事してないおれをクビにしやがって!」
人通り少なく夜遅い暗い道で一人孤独に愚痴を喚いていたのは、傭兵を脅して私欲を満たそうとしたあのバカと呼ばれた男。
一般的に見ても脅迫罪や名誉毀損で通用する犯罪をしておいてこのザマである。
「こんな理不尽、明日になったら労基に駆け込んでやるからな!」
こんな非常識バカに駆け込まれる労基からしたらイイ迷惑である。
と、突然バカのスマホが鳴り出した。
「ぬぁ!? あーもービックリさせやがって!
もー誰からの電話ぁ?」
呼び出し音に反応し通話にすると、スマホから響くのは幼い少女の声。
『あたしメリー、今あなたの後ろにいるの』
「えっ? あっぎゃあぁぁ!?」
謎の幼女の声がしたと思ったら、いきなり両足のふくらはぎに焼け付く様な激しい痛みが何度も走った。
「いたっ!? 熱ぅ?! えぁ!?」
突然の激しい痛みに頭が真っ白になりながらも、どうにか腕だけで這って後ろを振り向くと、血塗れのナイフを握り血に染まったエプロンドレスを着て、ニタニタ嗤っている西洋人形の様な顔の幼女だった。
「あ、あ、め、メリーさん…? 都市伝説の…め、メリーさん!?」
アキレス腱までザックリ切られ、絶望しかけていた所にこの追い討ち。
都市伝説のメリーさんだと分かり絶叫しようとしたが果たす事はならず。
喉笛をナイフで鮮やかに切られて声どころか、息すらままならなくなったからだ。
「そうよぉ? あたしはメリーさんよぉ?
アナタに恨みをぶつけに来たの。存分に苦しんで死んでね?
キャハハハハハハハハ!」
幼女の声で大哄笑を聞きながら、入らない空気を求めて空を掻き毟る。
「これだけじゃ足りないから、お腹もザックザクしちゃおうね?」
そう言うと幼女の高笑いが響きながら腹部にも激しく熱い痛みがとめどなく走る。
そして一撃だけ狙い済ましたかのように鳩尾から心臓にナイフを届かせ、さらなるトドメを刺した。
もうバカの意識はほとんどなく、虫の息も超えて絶えかけていた。
……なんで…どうしてこうなったんだ。
バカの意識が完全に闇に呑まれる前に考えられたのはその言葉だけだった。
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