最弱転生(改)

@HANAMIHANATABA

第1話

 ──ミツルギ・ハルトは横断歩道でトラックにひき殺され、異世界に転生した。チート転生だと思ったハルトは、魔物の群れに自信満々に飛び出した。気づけば、村のベッドの上で、寝ていた。


「大丈夫ですか? お客人・・・」


寝ていたのは、村の長老の家だった。長老は魔物に襲われていたハルトを助けて、村に連れてきたらしい。長老は自分の家のベッドで寝ていた対価として、金貨八枚を渡せと言ってきた。


「金貨・・・?」


ハルトは頭に?を浮かべて言った。長老は只人だと思い、すぐにハルトを家から追い出した。


「なんだよ。まったく・・・」


ハルトは村を見渡した。煉瓦でできた中世ヨーロッパ風の家が並んでいる。とても、序盤で出てくる村とは似ても似つかない・・・。ハルトが村を歩いていると、周りにいる村人たちにくすくすと笑われる。川で遊んでいた子供たちが、ハルトに近寄る。


「ねえ、お兄ちゃん。ボコボコにされたの?」


子供たちの中で一際目立つ女の子が、ハルトに話しかける。


「えっ? なんで、そんなことを・・・」


「そうなんだ」


「お兄ちゃん。よっわっ!?」


ハルトは自分が魔物に負けたことが村人に知られていることを、今初めて知った。


「はっ・・・お前たちが魔物に勝てるのか? 無理に決まってんだろ」


「でも、ミノタウロスだったら、わたしでも勝てるよ」


ハルトは言葉を失う。無論ハルトは、女の子の言葉を信じていない。


「じゃあ、試してみる?」



《ミノタウロスの洞窟》


「なあ、こんなところにいていいのか、アリーナ?」


「何言ってるの・・・」


 ハルトとアリーナが、薄暗い洞窟に入る。そこは先日、ミノタウロスの群れを引き連れていたキングがいた。


「あれよ」


アリーナがハルトに作戦を伝えようとする。その時だった、大きな影がハルトとアリーナを包み込む。


「えっ!?」


影の正体は、キングだった。キングはその鍛え上げられた巨体で突っ込んできた。それを小さな体で、軽々と避けるアリーナは、鞭を使って戦いだす。


「ぎゃああああああああ」


アリーナの戦いを見ていたハルトは、自分のふがいなさを実感していた。あんな小さな子供が戦っているのに、自分は腑抜けて足が動かない・・・。


「ぎゃあああああああ」と、ミノタウロスが悲鳴を上げて、洞窟の外に出ようとする。


「アッ・・・・」


ミノタウロスの額に、矢が刺さっている。ミノタウロスは倒れこみ、塵となって消えた。


「アリーナ。駄目だろ・・・・」


洞窟の入り口から入ってきたのは、黄色い髪で片目を隠した男だった。


「わかったよ・・・お兄ちゃん」


緑の衣服に左手にはボウガンを持っているアリーナの兄は、ハルトを見て言った。


「その人は・・・・・ああ、珍しい異国の人か」


アリーナの兄は、腑抜けていたハルトを見て、手を差し伸べた。


「あ・・・ありがうございます」


「いえ、こちらこそすみません。妹が、勝手にこんなところに来て」


見た目も中身も紳士的な男だった。ハルトは村に帰ると、村人たちが集まって何やら話していた。


「どうしたんですか?」


アリーナの兄が話しかけると、村人の一人が話し出す。


「ロバートか。それが、魔物たちがまた村に攻め込んでくるらしいんだ」









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