発信するのに、性別も年齢も職業も必要無い理由

星咲 紗和(ほしざき さわ)

本編

「発信するために、性別や年齢、職業を公表する必要があるのか?」という問いについて、私は一貫して「必要ない」と考えています。発信は、自分の考えや感じたことを自由に表現し、それが誰かに届くことを目的とした行為です。そこに性別や年齢、職業といった属性が関係する理由はどこにもありません。


もちろん、社会の中には属性を明確にしなければならない場面もあります。たとえば、法律的な手続きや、プライバシーを守るためのルールが必要な場面などです。しかし、発信という行為においては、こうした「属性の公表」は必須ではないどころか、時に不要な固定観念を生む原因になることすらあります。


そこで今回は、発信における属性の必要性について深掘りし、なぜ私はそれを重視しないのかを説明していきたいと思います。


発信の本質は「何を伝えるか」


発信の本質は「何を伝えるか」です。自分の思いや考えを、言葉や表現を通じて相手に届ける。シンプルですが、これが発信の目的です。読んだ人や聞いた人に何かを感じてもらうこと、それができれば十分なのです。


ここで重要なのは、「発信者が誰か」ではなく、「何を発信しているか」という点です。発信者の年齢が若かろうと、性別がどうであろうと、そこに心を動かす言葉があるなら、それがその発信の価値となります。


たとえば、名の知れた作家の本でも、その中身が自分に響かなければ価値を感じることはありませんし、逆に無名の発信者の一言が深く刺さることもあります。このように、発信の価値は内容そのものにあり、発信者の属性に依存するものではないのです。


属性が作る「固定観念」の危険性


一方で、発信者の属性が明らかになることで、内容そのものではなく、その人自身を基準に評価される危険性があります。


たとえば、以下のようなケースです:

• 「若いからまだ経験が浅い」

年齢が若いと、「大した経験もないのに」と内容を否定されることがあります。しかし、若さゆえに持つ感性や視点は、むしろ新鮮で貴重なものです。

• 「この人は〇〇の職業だから」

職業で人を判断する風潮もあります。「芸術家だから現実的なことが分からない」とか、「会社員だから無難な考えしか持っていない」といった先入観が、発信内容の受け取り方に影響を与えることがあります。

• 「性別で役割を決めつけられる」

性別によって語るべき内容や立場を制限されることも少なくありません。「女性だから繊細な話題を語るべき」「男性だから技術的な話が得意であるべき」といった思い込みが、発信の自由を奪います。


これらの固定観念は、発信の内容そのものを正当に評価することを妨げる要因になります。そのため、発信において属性を明かさない自由が尊重されるべきだと私は考えます。


発信者が「属性」を選べる自由


発信する場では、発信者が自分の属性を明かすかどうかを選べる自由があります。年齢や性別、職業を明かしたい人はそれを公表すればいいし、公表しないことを選ぶのも全く問題ありません。


特に、匿名の発信には大きなメリットがあります。それは、発信内容が純粋に評価されるということです。名前や肩書きに頼らず、言葉そのものの力で勝負する場が匿名の発信です。誰であれ、発信内容が価値あるものであれば、それが広がっていく可能性は十分にあります。


反対に、属性を明かすことを強要された場合、それが足かせになってしまうケースもあります。「この年齢だからこうあるべき」とか、「その職業なのにそんなことを言うの?」という形で、発信者自身が不当に批判されることもあるでしょう。その結果、発信する意欲が削がれるとしたら、非常にもったいないことです。


誰かの居場所を作る発信


発信の大きな魅力の一つは、誰かの居場所を作れるという点にあります。自分の発信が、誰かの心に寄り添い、孤独を癒やし、希望を与えることができる。それが発信の力です。


ここで重要なのは、発信者の属性ではなく、内容がどれだけ相手の心に響くかということです。居場所を探している人は、自分と似た経験を持つ発信者の言葉に救われることもあれば、まったく異なる背景を持つ人の考えに新しい視点をもらうこともあります。属性の一致は必須条件ではありません。


私自身、「属性に縛られたくない」という思いを持っています。年齢や性別、職業を明かさずに発信することで、自分らしい言葉を届けたいと思うのです。そして、その言葉が誰かの居場所になるきっかけになれば、それ以上の喜びはありません。


まとめ:発信は自由であるべき


発信するために性別や年齢、職業を明かす必要はありません。発信の本質は「何を伝えるか」であり、それ以上でもそれ以下でもないからです。


私たちには、属性を明かさない自由があります。そしてその自由を活かすことで、発信内容そのものが正当に評価され、誰かの心に届くチャンスが広がります。発信の場は、年齢や性別、職業といったラベルを超えた、純粋な表現の場であってほしいと願っています。


発信の力を信じて、これからも自由な言葉を届けていきたい――それが、私の願いです。

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