夢見る安奈(悪夢)
あのね!
第1話 通った事のない道???
「キャッキャ―――――――――――――――ッ!どうして……どうして……おかあちゃん……わあ~~~ん😭わあ~~~ん😭死なんといてーな!わあ~~~ん😭わあ~~~ん😭」
これは一体どういう事?
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東京都江戸川区に住む「愛真高校」2年生の朝桐安奈は、私立高校に通うごく普通の女の子。安奈は現在ダンスに夢中だ。実は…この愛真高校はダンス甲子園で2度の優勝経験のあるダンスの名門校。安奈は将来は学校で訓練したダンススキルでガールズグループを組んで芸能界デビューを果たすのが夢なのだ。そのため日夜ダンスの他ボーカルの練習にも通っている。
今日も学校が終わるとボーカルの先生の下へと足を進めていると、その時今まで見た事もない温泉旅館が目の前に現れた。
(あれ~?道……間違えてしまったのかな……)
すると旅館の支配人らしき、物腰の低い優しそうな40代くらいの男性が声をかけて来て、にこやかな笑顔で言った。
「さあさあいらっしゃいませー。お入り下さい😄」
「嗚呼……いえ……私は今からレッスンに向かうところです」
「エッ?何のレッスンですか?」
「エッ……いえ……私はボーカルのレッスンに行くところです」
「あっ!今日は今売り出し中の有名なアイドル「COOL BOY」の後輩で、まだ実質的にデビューはしていないが、凄い人気のシャイニーズJr.のショーがあるので、有名人を多く手掛けて来たボイストレーナーの先生が来ています。ひょっとしてスターのチャンスが転がっているかも知れませんよ」
「エエエエエェェエエエエエエッ!本当ですか?」
「さあさあ……どうぞ遠慮なさらずに……」
すると遠くから声だけが微かに聞こえた。ダンス部の部長今村拓海(いまむらたくみ)が心配そうな声で叫んだ気がした。実は…拓海は最近付き合いだしたばかりの安奈の彼氏だ。それも有りえない言葉を投げかけて来た。
「安奈—――――ッ!そこは……その場所は危険だ!」そのように叫んだ様に聞こえた。でも……それは余りにも声がぼやけて、声が小さくて、ハッキリ安奈には聞き取れなかった。
また安奈にはこうも聞こえた。
「安奈—――――ッ!そこは……その場所は綺麗だ」
一体どっちの言葉が正解だったのかは分からない。なので芸能界への道が転がっているかも知れないと思い、拓海の言葉など耳に入らず、とっくの昔に拓海の忠告とも取れる言葉は頭から離れていた。
それでも……おかしい話だ。2024年12月現在「COOL BOY」や「麗人隊」はとっくの昔に解散していてシャイニーズJr.たちも栄華を極めたが、現在は事務所社長や俳優司会者などに変貌を遂げていた。
「COOL BOY」や「麗人隊」が活躍していた時代背景から考えるに、どうも……20年前にタイムスリップしたみたいだ。
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旅館のエントランスに通された安奈は日本古来の京都の町家風デザインにうっとり。何とも情緒あふれる佇まいにすっかり引き込まれてしまった。また照明も薄っすらと灯籠のようで幻想世界が広がっている。日本旅館 の伝統的な日本家屋和風設計である。また格子 戸になっていて京都の町家と言ったところだ
約4000坪もある敷地内には3種類の温泉浴場をはじめ、庭園・ラウンジ・読書室・サウナを備えており、バスルームなどの水回りはモダンにリニューアルされた快適な空間。日本庭園には、池があり太鼓橋が掛かっており、滝が流れ豊かな自然と川のせせらぎを感じながら、思いを馳せてみたくなる場所だ。
「ワ――――――――――――ッ!お洒落!今にも舞子さんが現れそうな旅館だ」
するとその時多くの観光客が、次から次へと入って来てエントランスからエレベーターで客室に消えて行った。どのお客様もとても幸せそうで安奈もこの旅館に泊まりたくなった。
だが、一瞬1人の観光客の後ろに淡い炎🔥が揺らめいた気がした。
(あっ錯覚だろう?それよりも……その有名なボイストレーナーの先生にお会いしたい)
そう考えてきょろきょろ辺りを見回していると、COOL BOYや麗人隊の後ろで踊っているシャイニーズJr.の大宮くん、櫻葉くん、タッチー&つばきくんたちが中央の豪華なシャンデリアの方から歩いて来た。
(そうだ!サインしてもらおう)そう思い声を掛けた。
「シャイニーズJr.さん達ですよね。サインお願いします!」
するとのタッチー&つばきのタッチーが嫌な顔一つせず言った。
「嗚呼……良いよ」そう言ってハンカチにサインしてくれた。すると他の3人も嫌がる素振りも見せずに次々にサインをしてくれた。
余りにも良いことづくめでうれしくなった安奈は、薄っすら灯籠のような幻想的な明かりに照らされた町屋風の廊下を、鼻歌交じりに歩いていた。すると遠くの方からテレビでも度々取り上げられている「ピー・デラックス氏」が歩いてきた。
「ピー・デラックス氏」はゲイと巷ではもっぱらの噂。シャイニーズ事務所の敏腕社長の一方で、長きにわたり所属事務所のタレントに手を出し餌食にして来た、卑しいゲイ社長と週刊誌の格好の餌食になっていた。
「あれ?思ったより小さい。私より小さく見える」そう思いながら通り過ぎようとした時ピー・デラックス氏から声を掛けられた。
「君……スターになりたいんだって?僕が事務所紹介してあげても良いよ」
「あっ!ありがとうございます!本当ですか?」
(あれ?どうしてそんなこと知っているの?それから……シャイニーズ事務所は男ばかりで私は入れないし、それから……確か「ピー・デラックス」社長ゲイじゃなかったっけ?だから……そんな事は無いとは思うが?わあ~もし体で払ってとか言われたりして……どうしよう?な~んか上手く行き過ぎてるんだよなあ。うまい話には絶対に裏があるに決まっている。待て!待て!私の夢はあくまでガールズグループとしてスターになる事だから、芸能界の重鎮に力になって貰うためにも……ついて行こう。こんな良い話断ったら二度とこのような話が舞い込んでこないかもしれない。ようし!今日はこの旅館で一泊して行こう)
「君……僕について来たまえ」
(一体誰に口利きしてもらえるのか?はたまた直接芸能事務所の社長さんを紹介してもらえるのかなあ?)
そう言われ胸をときめかせて付いて行くと、ある部屋に通された。その部屋は何もない深い闇がどこまでも広がっている不気味な部屋だった。一体ここで何が起こるのか怖くなった安奈は思わず社長の顔を見た。
そうなのだ。改まって顔を見直すと「ピー・デラックス氏」とは似ても似つかない年老いた老婆だった。
(エエエエエェェエエエエエエッ!私が廊下ですれ違った人は「ピー・デラックスさん」じゃなかったんだ。一体この老婆は誰?)
するとその老婆の子供の頃がチラリと動画となって映し出された。それも深い闇がどこまでも広がっている不気味な空間に映し出された。
「私はね。祇園の芸者だった母美代子と政治家との間に授かった不義の子だったわ。だから……幼い頃芸者置屋で育ったのよ。その内母はその政治家に見受けされてこの祇園を出て行ったけれど……」
そう言ったが早いか、恐ろしい惨劇が映像となって暗闇に映し出された。
「キャッキャ―――――――――――――――ッ!なな 何を……何をするのですか????」
「私の……私の……夫を奪っておきながらよくも抜け抜けとそんな事が言えたものね。死ね――――――――――ッ!」
「おかあちゃん……わあ~~~ん😭わあ~~~ん😭死なんといてーな!わあ~~~ん😭わあ~~~ん😭」
老婆の名前は裕子だが、どうも……芸者の母美代子が政治家の妻との痴話げんかの果てに、この様な凄惨な事件へと繋がったみたいだ。
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