第4話〖私の親友達がまた暴走してる〗

(えぇ?!スゴイじゃないっ!!またテストで100点?!‥‥‥利絵(りえ)は何でそんなに頑張るの?平凡が一番だとお母さん思ってるだけど‥‥‥‥‥‥振り向かせたい子が入る?そう、だからそんなに頑張れるのね‥‥‥‥)


〖沙原(さはら)高校〗一年A組


「ハッ!‥‥‥一瞬、気を失っていた?‥‥‥‥あれ?」


「あー、やっと起きたか?リーエ、寝不足か~?例の幼馴染みと夜まで何やってたん?もしかして変な事でもしてたのかい?ん~?」


私の目の前の席に座って、話しかけてきた茶髪の女の子は 九条 皐月(くじょう さつき)ちゃん。小学校からのお友達で一番の親友。リーエ、サーちゃんと呼び合う仲なの。


「サ、サーちゃん。そ、そんな。私と見理(ケンリ)君がお似合いだなんて。照れちゃうよ」


「‥‥‥‥誰もそんな事まで言ってねえよ。たく頭はスパコン並みに良いくせに脳内お花畑の文学少女ときたら。私もリーエみたいな性格に産まれたかったわ~」


「いや~、褒めるな、褒めるな。サーちゃん。それではリーエちゃんが天狗になちゃうよ」


「いや、全然。褒めてないって‥‥‥‥たくっ!このド天然が学年二位の文学美少女なんて誰が思うのかしらね」


「えへへ~、また、褒められちゃった~」


「いや、褒めてない‥‥‥‥いや、褒めてるな。うん。オマケに‥‥‥‥ボインだし。こんな優良物件がポヤポヤしながら近くにいるのに、あの朴念仁は何で手を出さないのかしらね?ねぇ?リーエ」


「朴念仁?誰の事?」


「‥‥‥‥‥‥くぅぅ!!!あっちも朴念仁だけどこっちもド天然。これは無理だわ。終わりだわ‥‥‥‥良い!リーエッ!このままだとそのうちあの朴念仁にも彼女ができて泣くはめになるよ。だから、もっと積極的に誘惑して落とすのよ。このっ!自慢のっ!ムカつくっ!ボインを使ってねっ!」


「や、止めてえぇぇ!サーちゃん!!皆が見てるよっ!」


「今は放課後で女の子しかいないから見られても大丈夫よ‥‥‥‥しかし本当にデカイわね。これ‥‥‥‥」


サーちゃんはそう言うと自分の胸を見る。連れて私もいちゃった。見ちゃいないものを見ちゃったの‥‥‥‥‥断崖絶壁、何もなかった、ヌリカベ、そんな単語が私の脳内お花畑が舞っている。


「‥‥‥‥リーエ‥‥‥‥あんた。今、とんでもく失礼な事考えているでしょう?」


「‥‥‥‥‥ううん‥‥‥‥何も考えて無いよ。サーちゃん」


私は笑いを堪えながら教室の窓の外に顔を向けて、サーちゃんを視界から外して難を逃れ様とするんだけど‥‥‥‥。


「ブフゥ‥‥‥‥あっ‥‥‥」


「ブチッ!リーエ!!誰が貧乳ですってっ!」


「い、言ってないよーっ!そんな事!!!」


そんなやり取りをしていると教室の廊下側から聞き覚えのあるもう一人の親友の声が聴こえた。


「あっ!いましたね。南本(みなもと)さん!!」


「ちょっとっ!不味いよ有栖川(ありすがわ)さん。ここ、女子だけの特別クラスだよっ!男子の僕がおいそれと近づける場所じゃないんだっ!」


「え?ここは普通化ですよね?手帳にもそう書いてありましたけど?」


「普通化は普通化だけどA組は特別なんだ。学年でも成績が良い子達がこのクラスに集められる」


「それでは私達の特進クラスと何が違うのですか?」


「僕らの場合は学業+芸術の分野で成績を残さないと入れないCクラスの芸術科だよ‥‥‥僕の場合はまぐれで入れたけどね」


「まぁ、そんな違いがあったんですね。私の勉強不足でしたね。ごめんなさい正道(せいどう)君」


「うん。なら、もう僕は行くね。じゃあ!」


「駄目です。逃がしません!さぁ、早くA組の教室に乗り込みますよっ!」


そんな仲良さそうな会話をしていた私がよく知る二人が教室の中に入って来た。


「見理(ケンリ)君と‥‥‥‥真理ちゃん?が何でうちのクラスに?」


「おぉ!マリっち。今日も中盛り位の適度な膨らみだね~、少し分けろ‥‥‥」


「さ、皐月(さつき)さん?!何、訳の分からないこと仰ってるんですか?おバカなんですか?」


「私は至って正常だわ‥‥‥‥暴走のマリっちよ‥‥‥‥ケンまで連れた来たって事は、まーた変な騒ぎでも起こす気かね?このアホ幼馴染みは‥‥‥」


「だ、誰がアホ幼馴染みですかっ!」


あぁ、そうだった‥‥‥皐月(さつき)ちゃんと真理ちゃんは家族同士の付き合いで幼馴染みの関係で凄く仲が良いんだった。


「‥‥‥‥流石、サーさん。有栖川(ありすがわ)さんの扱いが上手い。当初の目的を忘れさせて、南本(みなもと)さんに向いていた意識を自分の方に向けるなんて。やるな‥‥‥‥これならこのまま静かに立ち去って。静かな余生を‥‥‥」


「当初の目的って何かな?見理(ケンリ)君」


私は見理(ケンリ)の肩を叩きながら、ニコニコ顔で話しかけた。


「‥‥‥‥‥‥南本(みなもと)さん。いや、これは有栖川(ありすがわ)さんの何時もの暴走で‥‥‥僕は放課後、他の部活の見学に一人で行こうとしたんだけど。有栖川(ありすがわ)さんが喫茶店で絵画の話をしたいってずっと行っててさぁ。それで話がこんがらがって南本(みなもと)さんと放課後部活見学デートするって勘違いしたみたいなんだ」


「それで二人仲良く、私が入る教室に来てまで夫婦漫才を始めたということかな?見理(ケンリ)君」


「夫婦漫才?何の事?」


「くうぅぅ!!この無自覚モテ男はあぁぁ!!幼馴染み特権ですっ!天誅です!天誅!!!!」


私はそう叫ぶと見理(ケンリ)君に向かってチョップをかましたんだけど。



そんな叫ぶと私に注目した同じクラスの女の子達が、色めき立ち始めた。


「え?芸術科の正道様?嘘?!」

「それだけじゃないわ。〖赤髪の少女〗で有名な有栖川(ありすがわ)様も入るわ!!」


「「「「「キャアアアア!!!!!正道様!!有栖川様!!!」」」」」


いつの間にか教室意外の廊下にも女子生徒達が集まってたみたい。そしてイナゴの大群の様に私達の方へと押し寄せて来るのです。


ドドドドドドドドドドドド!!!!!


「へ?ちょっとっ!皆!!落ち着いてえぇ!!正道君は‥‥‥‥見理(ケンリ)君は私だけの幼馴染みなんだから!!!!てっ!イヤー!!!」


「こりゃあ、大変だね。マリっち。ケン‥‥‥‥てっ!どさくさに紛れてどこ触ったんのうちのクラスの連中はあぁぁ!!」


「な、何なんですか?私は」ただ、南本(みなもと)さんに様があって来ただけ何ですかからあぁぁ!!!」


「‥‥‥‥だから、一人で部活見学したかったんだよ~」


その日の放課後。一年A組に集まっていた生徒全員が職員室で反省文が書き終えるまで居残りさせられたのでした。


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