空って青いよ、どうしてなの?
沼津平成
その帰りのことだった。肩車の重みがのしかかる美佳子の猫背の体に、ふわりとした優しい声が聞こえてきた。
「ねえねえ」
他でもない、日菜太の声だった。
「……なあに?」キモを潰したような声だったが美佳子は聞いた。
「あれ、空っていうらしいね」
日菜太は少し大人びた言動をした。もっとも、その内容はまだまだ幼稚だったが。
「うん、そうだよ。それだけ?」
「違うんだ。ねぇ、空ってどうして青いの?」
「さあ、知らない……」
美佳子は、日菜太を肩に乗せて、また自転車を漕ぎ出した。
空って青いよ、どうしてなの? 沼津平成 @Numadu-StickmanNovel
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