学校でも甘々な二人

 次の日、私が教室で小雪が登校するのを待っていると、小雪が教室に入ってきた。


「おはよーっ!」


 教室に響き渡るくらいの大きな声で挨拶をしながら入ってくる小雪。クラスのムードメーカー兼マスコット的立ち位置である彼女はいつも明るく元気だ。そんな小雪にクラスの皆も挨拶を返す。


「おはよう、小雪ちゃん」

「おっはー!」

「相変わらず元気だね〜」


 みんなが口々に小雪に声をかける。

 小雪がそれに笑顔で答えていると、その姿を見ていた私と目が合った。

 その瞬間、昨日のことを思い出したのか、小雪の顔が耳まで真っ赤になり、彼女は慌てて顔を俯けてしまった。


「あぅ……月ちゃん……おはよう……」


 小雪がこちらに控えめな様子で歩み寄りつつ、恥ずかしそうに小さな声で言う。その様子がとても可愛くて思わず笑みがこぼれた。


「おはよう、小雪」


 私は微笑みながら挨拶を返すと、小雪は上目遣いで見上げてきた。その顔はまだ真っ赤である。


「うぅ……」


 そんな顔を見られたくないのか、さらに俯いてしまう小雪。その反応が愛らしくて、私は少しからかいたくなってしまう。


「小雪、昨日のこと思い出しちゃった?」

「っ!?」


 私の言葉に小雪はビクッと身体を震わせる。そして、さらに顔を真っ赤にさせて黙り込んでしまった。その姿があまりにも可愛くて思わず抱きしめてしまいたくなる衝動に駆られたが何とか我慢する。


「……ずるいよぉ……」

「な、何が?」

「月ちゃんだけ余裕そうで……」


 小雪は恨めしそうに私を見つめながら言う。どうやら私の反応を見て悔しく思っているようだ。その様子もとても可愛らしいと思う。私はそんな小雪の頭を優しく撫でながら言った。


「そんなことないよ」

「うぅ……絶対嘘だよぉ……」


 小雪は私の胸に顔を埋めながら抗議するように言うが、その声はどこか嬉しそうである。私は小雪のことを優しく抱きしめて頭を撫でた。手に小雪の柔らかな髪の感触を感じる。


「もうっ!子供扱いしないでよぉ!」


 そう言いながらも抵抗することなくされるがままになっている小雪はとても可愛かった。


(ああ、やっぱり好きだなぁ……)


 そんなことを考えていると、自然と口元が緩んでしまう。そして、そんな私を見て小雪が頬を膨らませながら言った。


「月ちゃん?何笑ってるの?」

「ん?別に何でもないよ」


 私は誤魔化すように答えた。しかし、それでも納得できないのか小雪はまだ不満そうな表情を浮かべている。

 私はそんな小雪を宥めるように頭を撫で続けた。その一連のやり取りを見ていたクラスメイト達は微笑ましそうな顔をしながら私たちを見ている。


「相変わらず二人はラブラブだねぇ〜」

「でも、昨日までと何か変わった感じがしない?」

「確かに……昨日までよりももっと親密になった気がする……」


 クラスメイト達は口々にそんなことを言っていた。

 小雪はそれを聞いてさらに顔を赤くする。そして、私の胸に顔を埋めたまま黙り込んでしまった。私はそんな小雪をそのまま優しく抱きしめ続ける。


「月ちゃん……その……そろそろ離して欲しいんだけど……」

 

小雪は恥ずかしそうにしながら言う。しかし、私はその言葉を無視して彼女を抱きしめる手に力を込めた。


「きゃっ!?ちょ、ちょっとぉ!」


 突然のことに驚く小雪だったが、それでも構わずに抱きしめ続ける。そんな様子をクラスメイト達は微笑ましそうに見守るのだった。

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