弱者の楽園

微風 豪志

弱者の楽園  プロット


周りの奴も平気で嘘をついているんだと思ってたんだ。

周りの奴もどれだけ悪い事を誇るのかって、

周りの奴もみんな同じ天使だと思ってたんだ。


厳格な父親に育てられた。

幼い頃、カエルを瓶に詰めた事がありました。

母親にそれを見せたとき母は「かわいそうだからにがしておいで」、といったんだ。

私はそれが不思議だった。

自分よりも劣っている生物を支配したのにも関わらず、母が褒めてくれなかったからだ。

同年代の天使達も私を指差して「あの子はどこかおかしいわ」なんて言って信じられない。下品に笑う事もしねぇんだ。まともな顔してまともな勉強して、まともになるために日々切磋琢磨して競い合うんだ。でも競い合うなんてみんなに言ったら、「そんな下品な事はしておりませんよ」っつってしらばっくれるんだよ。本当は競う事が闘争が楽しいことのはずなのに!


そんなある日のことさ息苦しい毎日で、ある日転機があった。たまにさ、天使の中で本当たまに出てきちまうんだ、そんな息苦しさに負けて、おかしくなっちまう奴が、悪魔界に身を投げちまう奴が、俺は天使の中で気の合う仲間が悪魔界に身を投げようとした所を目撃しちまったんだ。

俺は最低だ。

そいつの姿を見てなんでか知らないが、興奮した。

カッケェってスゲェって、だってよ全てを捨てて一から悪魔としてやり直すんだぜ!?

そこに関して本人以外が口を出すのはナンセンスだったと思うぜ。


そいつが飛び降りたのは俺のせいだって大人たちは俺を責め立てた。

「やっぱり悪魔とつるんだせいでうちの子はおかしくなったんだ!」

それほどの恨みをぶつけられたのは生まれて初めてだった。

会話の内容で俺は自分が悪魔であったことを知った。



その夜父親と母親に「なんで俺が悪魔だって教えてくれなかったんだよ」と聞く。

幼い頃天界の隅で俺を拾ったらしい。

殺そうか悩んだ挙句、育ててくれたらしい。

父親「何物であるかよりも何物でありたいかの方が重要だろう、ここは天使の世界だ!悪魔の生き方を貫き通せば不幸になるのはお前なんだぞ、私は誰よりも天使であれ、そうしてきたのは外見よりも何よりも内面こそ、天使であるならば正しく天使として生きて行けると信じていたからだ。」

母親は俺の顔を見て好きにしなさい、と。

母親「少し早いけれどあなたのしたいようにしなさい」

そう言った。


俺は悪魔界に身を投げた。


弱者をいじめ、強者たる格好をしていれば、誰からも慕われた。

最初は居心地が良かった。

あるときいじめてた奴が死んだ。

そのとき初めて天使の奴らと同じことをしていたことを知った。

俺のルールを押し付けて、俺の生きやすい居場所は他の奴にとっては生きにくいことを知った。


悪魔も天使もうんざりだ。

俺は両方の性質を持った、俺だけの仲間を作るんだ。

俺は弱者の楽園を作った。

我々は自らを人間と名乗った。

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