第2話
この国ではあたしみたいな境遇で魔力がある子ども魔法少女として育成していくシステムがあるの。
知ってた?
魔法少女っていうけど男の子はいないのかって疑問がわくけど、いないんだよ男の子は。男の子に魔力がないのか、男の子は別で育成していくのかわからんけど、魔法学校は女子校なんだよ。
適正検査の時に政府関係者に言われたんだ。
「奈々ちゃん、よかったね。ちょっとだけど魔力があるみたいよ。魔力がなかったら、大変なところだったんだよ」
魔力がなかったら大変って、どうゆうこと?
政府関係者のこのコトバがあたしの十字架となった。
魔法学校だって普通の学校と同じ科目があるのだが、毎日一時間だけ魔法学科の科目があるんだ。魔法学科はともかく普通学科の科目も落ちこぼれのあたし。でも、かけっこだけは一番なんだ。ま、魔法学校なんで普通学科の科目の成績なんてどうでもいいんだけどね。
問題は魔法学科なんだよ。とりあえず、魔力測定をやった後で魔法の基礎理論を徹底的にやるの。そもそも、魔法学科なのになんで座って勉強しなくちゃいけないのって思ってた。
夏休み明けの二学期から魔法実習が始まった。始まった瞬間、あたしの学園ライフは終わった。
あたしの魔力ってもともと微力くらいのもんで、ミジンコ級なのは知ってたよ。だけどさ。火魔法、水魔法、雷魔法その他いっぱい。まったく発動しないの。なんで?
担任の先生もビックリするくらい。でね、見かねた担任の先生が魔法学校の退学を勧めてきたの。退学しても大丈夫だからって。でも、あたしは十字架を背負っているから、泣き叫び暴れて抵抗したわけよ。最後は担任の先生が折れてそのまま在学ということになった。
冬休みが終わって年も明けた頃、クラスで一番できる女の子がスカウトで魔法学校を退学することになった。あまり仲良くなかった女の子、てか落ちこぼれのあたしなんか誰とも仲良くないんだけど、その子があたしに言ったの。
「ルナちゃんはクラスで一番魔法の素質があるはずなのに、なんで魔法が使えないんだろう」
はあ、おめえみたいな天才魔法少女にあたしの苦労なんてわかるわけ無いだろ。天才魔法少女サリー。
同級生の名前なんて全員忘れちゃった。ここからの呼称はバトルネームね。
サリーを無視していたら悲しそうな顔で魔法学校を去っていった。
あたしに魔法の素質なんてあるわけないだろ。
そんな感じで一年生は終わった。
この後どんどん荒んでいくんだよな。困ったことに。
魔法学校に留年は魔法をまったく発動できなくても普通に進級できる。だけど、二年生になってもまったく魔法が発動できない。担任の先生も練習に付き合ってくれるんだけど、まったくだよ。魔法の練習ばっかりやってるから普通学科の科目もからっきし。
もうどうにもならん。三学期は飛行魔法が少しできるようになった気がしたんだ。
だけど、かけっこの延長で飛んだように勘違いしていることが発覚。だけど、どの魔法もやり方はまったく間違えてないらしい。
ドコに消えているんだ。
あたしの魔力。
この年には三人がスカウト退学した。
はあ、なんか思い出すのも嫌になってきた。基本、八年生まで二年生で書いたものと以下同文。
あたしの魔法は発動しない。
不思議なことに魔力だけはわずかながらある。
だから、ドコに消えているんだ。
あたしの魔力。
もう、お気づきかもしれないが、八年生はあたしだけだった。
最後まで残っていたリサがスカウト退学したことで一人ぼっちになったんだ。
なんか嫌になってきた。
そう思って家出した。
家出っていうと友達んちが定番だよね。はは、笑っちゃうよね。
友達いないんだから。
しかも、追ってくるのは政府関係者。
アッという間に、魔法学校送り。
もう、あそこはあたしにとっては監獄同然。
この年に簡単な飛行魔法が発動した。感動ものだね。担任の先生なんか涙流していたよ。
これで、いつでも脱獄できると思うと嬉しくて涙が出てくるよ。進級間際にはプチサンダーとプチファイアを習得。
そんなもん。
みんなは一年生で習得したんだけどね。
そして、怒涛の十年生になると思いきや、ここはあたしの運命の悪さ。
魔力が心臓に溜まってたんだって。
どうりで魔法が発動しない訳だ。
プチサンダーとプチファイアが発動したのは溜まった魔力を放出する身体の防衛反応なんだって。一年休学をして治療に専念し、十年生となった。あれ、どんな成績でも進級できるんだから卒業なんじゃないかと抗議したが、出席日数は救済されないらしい。
そして、あたしは魔法学校を卒業した。
えっ、十年生の話をしないのかって。あんた性格悪いね。
一人ぼっちで涙流して魔法の練習してました。結局、簡単な飛行魔法とプチファイア、プチサンダーを習得しただけの十年間。魔法理論と基礎動作は同級生の中であたしが一番修練したはず。でも、簡単な飛行魔法とプチプチを習得しただけって。
あたしの進路はもちろん魔法少女。それ以外は政府が認めてくれない。
魔法少女以外だったら補助金出さないっていうんだ。
仕方なく政府の紹介したシェアハウスに入居し怒涛の週七バイト生活が始まった。
悪かったね。
あたしの愚痴みたいな話して。
一個くらいはいい話があってもって思ったろ。
あたしも一個くらいはいい話があるかとノートに書き出そうとしたけど、ノートは真っ白なまんまだ。
こんなもんだよ。
あたしの人生。
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