次に桜を見るまでには

西悠歌

第1話

「次に桜を見るときまでには、彼氏ほしいなー」

「あと1年か。頑張ってね。っていうか頑張ろう。」

5月、初夏の日差しを浴びながら四人の女の子が話していた。


「じゃあうちは次に花火を見る時までに。」

すると一人の少女が言った。

「今からスーパー行こっか。」

「そういうことじゃないよー。」


今度はまた他の少女が宣言する。

「ならあたしは次に紅葉を見るまでには!」

「教科書の130ページをご覧ください。」

「そんな意味じゃない!」


そして揚げ足を取っていた少女も続く。

「私は雪を見るまでには。」

最初の少女が笑って言った。

「あなたの家、ベランダから富士山見えるよね?」

「それはひどくない?」

「君がやってたことだけどね?」


みんな願いは叶わなそうだ、残っているのは『桜』と言った少女だけになったと思って歩いていると、ふと薄桃色が目に入る。


街角で一本の桜の木が花びらを散らしていた。

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次に桜を見るまでには 西悠歌 @nishiyuuka

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