生きながら

live

人の世に落ちて数年

人の脆さと儚さを知る

内に秘めた心を、真実を

外の仮面で覆い隠して

生きる

生きながらえている

生きながら人は多くを得る

そして、多くを失う

失うものが多いほど

涙も多く流れるだろう

持ち得ないものを

羨ましく思う日々など

ただ時間を無駄にしているだけであるが

それもまた人なのだ

この世の全ての人間は

「人ゆえに」で完結できてしまうほど

簡単なものなのだ

だからこそ人は

それを簡単で終わらせないように

無意識に多くを抱え込んでしまう

だがそれもまた人の偉さなのかもしれない

自らをより具体的な存在として

この世に残したいがゆえに

人は人として当然のことをしたとまで言える

人が皆同じではないことくらい

人は皆理解している

だからこそ自分は唯一無二の存在として生きたい

この思いがより一層深く刻まれるようになった世で

陰でもがきながらも自然と溶け込んでいる

人は、生きながら

Fin.