第2話 初めての一人暮らし
翌日。
「ともきおはよう」
「おはよう母さん」
「ご飯出来てるわよ」
「分かった。いただきます」
「ともき、今日帰ってきたら大事な話あるから」
「分かった、行ってきます」
「行ってらっしゃい」
「おはよう」教室でいると次々と他の人も登校してきた。
「おはよう、これからホームルームを始める。明日家庭科の授業で調理実習を1組と合同でするので各自道具を忘れないように、それでは授業を始める。日直!号令」
「起立、礼、よろしくお願いします」
「お前たちに連絡がある。今日から授業時間が午前のみになった。部活などでお昼が必要になる場合は各自で用意するように」
「はい!」と全員が返事した。
「それと今日のこの時間は自習にする!」
「自習かあっという間に終わるんだろうな」
自習はあっという間に終わった。
「次は家庭科か」
「家庭科室こうぜ海斗」
「おう、悟」それぞれが家庭科室に移動した。
「皆さん授業を始めます」
「よろしくお願いします」
「担任の先生から連絡があったと思いますが明日は調理実習を1組と2組合同でこの部屋で実施します。材料は用意するので皆さんはお米を持参してください」
「はい!」と全員が返事をした。
「それでは明日の流れを説明します。明日はこの部屋の前に来たら速やかに各自で持参したエプロンを来てお米を持ってそれぞれの席に着いてください」
「「はーい!」」
「それでは今日はこれで終わりです!明日忘れ物しないようにね!解散」
「教室戻ろーみゆう」
「もどろうか!かおり」
「はーい!全員着席、今日はこれで終わりだが明日は調理実習だ。忘れ物するなよ、じゃあな」
「帰るか、今日は母さん大事な話あるみたいだし」
「ただいま母さん」
「おかえり、ともき」
「今朝言ってた大事な話ってなに?」
「そうね。実は母さん、父さんと離婚しようと思ってるの」
「は!?何言ってんの?父さんは了承したの?」
「えぇ、父さんも了承済みよ」
「そっか、分かったよ。それで明日からはどこに住めばいいの?」
「母さんの友達でマンションの管理人してる人がいるからその人のところにお世話になって」
「分かった」
「理解してくれてありがとう、ともき」
「大丈夫だよ、今日はもう疲れたから寝るね」どんな話かと思ったら離婚話とは、まさか自分の親が離婚するとは思ってなかったな。
「おやすみ、ともき」
「おやすみ」この日はなかなか眠れなくて気づいたら朝になっていた。今日は早く出て父さんのとこにでも行ってみるか。
「おはよう、母さん。今日学校で調理実習なんだ。だからお米1合持っていくよ」
「分かったわ。朝ご飯はいいの?」
「うん。今日は日直の日だから、行ってきます」学校に行く時の通学路にパン屋があるのだかその店の前に父さんの住んでる家がある。
「父さんいるかな」インターホンを鳴らすと中から男の人が出てきた。
「なんだ、ともきか。何しに来た?」
「父さん、母さんと離婚するって本当なの?」
「あぁ、ホントだぞ。元々父さんにも母さんにもそれぞれ好きな人がいたんだ。だが親同士が決めた縁談で父さん達は結婚した。そりゃ、お互い一緒に暮らしてて楽しい時もあったしこの人と結婚して良かったと思ったこともあった。けどな、心の奥底ではもし当時好きな人と上手くいってたらってことを考えちまうんだよ」
「ちょっと待ってよ父さん。さっきから何言ってるの」父の家に行ったら突然聞かされたのは僕が知る由もない昔の父さんと母さんが出会った時の話だった。
「お前にはこれから色んな出会いがあるはずだ、失敗や敗北もするだろう。だが諦めるな、失敗は成功への過程だ。最初から成功する人なんていない。強くなれよ、ともき」
「分かったよ、父さん」
「もう学校の時間じゃないのか?」
「あぁ、そうだね。行ってきます」
「また遊びにこいよな、一人暮らし頑張れよ」
「分かった、またね!父さん」こうして僕は学校へ向かった。色々考えているうちに先生が来た。
「相澤、放課後話があるから残るように」
「はい」
「それでは連絡をする!全員今日の調理実習の忘れ物は無いな?」そう言われて手を上げる者はいなかった。
「よし、よくやった。次も忘れ物しないように」
「はい!」全員が元気な声で返事をした。
「さて、連絡の続きだが今日はこの時間も含めて調理実習の時間になる移動開始!」
「楽しみだね!飛鳥」
「そうね!晴海」
「きゃあ、天使様よ」
「おぉ、今日もお美しい」
「あれが1組のマドンナか」
「はい!皆さん静かにしてください」
「エプロンを着た人から順番に教室に入り、班ごとに別れてください。一応黒板にも班のメンバー表は掲示してあるのでまだ見てない人は確認するように」そう先生が言うとまだ見てない人が確認しに黒板の前に来た。だがその人数は少数だった。
「皆さん、席に着きましたね。それではこれから調理実習を始めます。まずは私がお手本を見せるので皆さんは座りながら前を向いてください」20分ほど先生がやってる所を見てから実習の時間になった。僕も料理は結構するからこの時間はあっという間に過ぎていった。
「それでは出来上がった班から食べ始めてください」
「片付けは食べ終わり次第始めるように」
「はい!」ここから30分ほど食事の時間を確保することが出来た。
「今日はこれで終わりか!半日早かったなぁ」これから母さんの知り合いの人のマンションに行かないといけないから早く終わったのは好都合だ。
「そういえば、担任が話あるって言ってたな」帰る前に教務室に寄ろう。
「失礼します。1年2組の相澤智樹です。担任の先生に用があってきました」
「おぉ、呼び出して悪かったな。まぁ、こっち来てくれ」
「はい!」
「お前、親が離婚するんだって?朝連絡あったよ」
「はい、そうなんですよ」
「なにか困ったことがあれば相談しろよ、高校生での一人暮らしは慣れないこともあって大変だろうからな」
「ありがとうございます」
「そのことが心配だったから呼び出した。悪かったな、気をつけて帰れよ」
「はい!失礼します」先生も心配してくれてるんだな。とりあえず人を待たせるのは良くないのでマンションに行かなくてはな。
「コンビニでも寄ってから行くか」そう思っていると見たことのある顔がコンビニに入っていくのを見かけた。
「あれって確か椎名さんか。こんなところで何してるんだろう」何やら店員さんに話しかけてるようだがここからだと店内の声は聞こえないな。
「すみません、実はしつこい人に追われてるんです。匿ってもらえませんか?」
「あぁ、ファンみたいなものだね。分かったよ。とにかくここにいなさい」
「ありがとうございます」そうしているとあとから怪しい男が来た。
「ここにもみじちゃんは来なかった?」
「もみじちゃんって誰ですか?」
「そうか、来てないか」怪しい男はそう言って店内から出ていった。
「あいつがファンか。てかあいつもどこかで見たことあるような。ねえそこの君」
「なんだよお前、もみじちゃんのこと知ってるのか?」
「そんな人誰かは知らないけど僕君のこと知ってるよ、たしか凄い頭のいいとこの学生だよね」
「お前、俺のこと知ってるのか?そうなんだよ。俺実は頭いいんだ」
「名門校の君がこんなとこで可愛いとはいえ他校の女子生徒を尾行してるって君の親や学校の先生が知ったらどうなるんだろう、もしかしたら見放されるかもね」
「は?、、、マジかよ」
「それが嫌ならストーカーなんてやめな?」
「今日のとこは勘弁しといてやる」
「僕もらしくないことするようになったもんだな」はやくマンション行こう。
「あれ、ファンは?」
「いなくなりましたよ、男の人が追っ払ってくれたみたいです。たぶん君と同じ学校の子じゃない?」
「そうなんですね。良かった」
「柄にもなく人助けしてしまったが、やっとマンションに着いた」えっと、管理人室はここか1階なんだな。とりあえずチャイムを鳴らしてみた。すると中から女性の声が聞こえてきた。
「はーい!君が綾菜の子か」
「はい!ともきっていいます」
「とにかく上がって、詳しく話すから」
「はい。ありがとうございます。管理人さん」
「私のことははるきでいいよ」
「分かりました。はるきさん、それで僕の部屋はどこですか?」
「君の部屋はね『最上階』だよ」
「はい?最上階っていいました?」
「うん」
「そこが今日から君の部屋だから、家賃は前払いで貰ってるから、気にしないでね」
「分かりました」このマンションただでさえ他より高いのにそこの最上階に住めるなんてうちはそんなに金持ちだったのか。
「さて、今日は色々あって疲れたからもう寝るかな」今日は色々あったから寝れないと思っていたが案外あっさり眠れた。
「さて、学校に行こうか」そうしているとチャイムが鳴った。
「誰だ、こんな朝早くに」覗き穴から覗いてみるとそこには1組のマドンナ椎名紅葉その人がいた。
「椎名さん?こんなところでなにしてるんですか?」
「あなたが昨日私を助けてくれた人ですか?」ここは嘘をついても仕方ないので正直なことを言うことにした。
「はい。そうですよ」
「昨日は本当にありがとうございました。それで私、あなたにお礼がしたくて!」
「お礼されるようなことは何もしてません!ただ困ってるんだろうなと思ってほっとけなくて助けただけなので」
「そ、そうなんですね。とにかく昨日はありがとうございました」
「あの、もしよろしければ下まで一緒に行きませんか?」
「もちろんです」僕は登校の準備をするため少し待ってて貰ってから1階ロビーまで降りてそこで解散した。
「ともきぃ、今の子は彼女?」
「綾菜さん、彼女じゃありませんよ!隣のクラスの子です」
「そうなんだ。向こうは満更でもない感じしたけどね」
「そんなまさか、相手はマドンナですよ」
「まぁ、いいけどさ。気になるならアプローチした方がいいよ。相手のためにもね」
「わかってますよ。そりゃ、気軽に声かけれるならいいけどクラス違うからなぁ」管理人の綾菜さんと他愛もない話をしてから学校に向かった。
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