7話 コンコ「想定外の」
前回のあらすじ。
みぃ君には既に恋人がいました。
ここのおコンコの恋物語、終劇。
△
「ふうううううっ、ふうううううううっ。うう゛ぅ〜〜〜〜…………」
「な、泣かないでくれよ〜……」
ぽろぽろぽろ、はらはらはら。涙。涙。なみだ。
「コ゛ン゛の゛ごど、ずぎっで言゛っだあ゛あ゛ぁ〜〜〜…………!!」
「いやっ流石に時効じゃない……!? ぐうッ、くそぉ……!なんて罪悪感だ……!!」
甘かった……。考えが。
ずっとずっと、恐れてたのは、ひとつだけ。わたしのことを、綺麗さっぱり忘れられてる事。それが、それだけが。不安で不安で堪らなかった。けれどつまりそれは、逆を言えば……そうでなければ大丈夫だ、と。
問題なんかないって。また逢えたその時、わたしを憶えててもらえたなら。その時は、きっと……きっと受け入れて貰えるって。「すき」 って、言ってくれたから。大丈夫だって、そう思ってた。思っちゃってた。思い込んでた。けれど……。
「なんか、ごめんよ……。でも、きちんとハッキリ言っとくべきだと思ってさ……」
「ふうぅうう゛、ずず……っ、 ぶえぇえええ…………ひグッ、ぅえ」
そっか……。みぃ君だって、みぃ君自身の人生をちゃんと生きてきてて。
背だって、わたしなんかより ずーっと大っきくなって……。そうなるくらいの時間が、もう、経ってしまってるんだって……。
その中で、誰か他の素敵な人と出会って……好き合って、恋仲になる。全然、まったく、不思議なことなんかじゃない。何も、おかしくなんかない。当たり前に想像できる結果。……自分の浅慮が嫌になる。
だから。そう、ただただ単純な話。そうだ、コンは………………ただ、
間に、合わなかったんだ…………。
「………………コン、ねーちゃん……?大丈夫……?」
「っ! ……ズび、っっ〜〜〜っふ、っっっ」
どう、すれば、いいのか……。これから……?
それは、わかんない……まだ、わからないけど。
とにかく泣き止もう、今は。みぃ君に心配かけてる。
せっかくまた逢えたんだもん。なのに、迷惑ばっかり、かけたくない……。せめて、そのくらいは。
───てろりん♪
「あ、ライン……メッセージが」
「…………?」
らいん?
あの板は……たぶん、携帯電話?だよね。 あんな形だったっけ……?
「っ、キョーコさんから………………え!? 今日、今から!?」
「!?」
きょーこさん。
これは……
もしかして、みぃ君の……!
「うわどうしよ、ちょっと今か……!ええぇ、うわぁーーー……! っ、あのさ!コンねーちゃん、おれ」
「………………うん。 いいよ、こっちのことは……気にしなくても」
気を遣わせないよう、努めて笑顔で。わたし、ちゃんと笑えてるかな。
「え……っ、」
「なにか用事、できたんでしょ? コンは……
「いや、でも……っ、」
困った顔の目線が、携帯を持った手元と わたしの方を行ったり来たり。
「でも? なあに?」
「………………その。また、消えちゃったり、どこか行っちゃったり、とか」
「あはは……。そんなことしないよ。消えたりしない、約束する。だから……心配しないで?」
「コンねーちゃん……」
俯き、しばらく逡巡したのち……みぃ君は顔を上げた。
「………………ん、わかった。ありがと。 ちょっと……行ってくるよ。 あ、そうだ これ……うちのカギっ。目の前のあれ、あのマンション、あそこの405号室。入って中で待っててくれていいから」
「えっ。か、鍵って……!」
「じゃあ、あとで! なるべく早めに戻る!」
少し強引に鍵をわたしに握らせて、そのまま駆けて行ってしまう みぃ君。
いや、こんなあっさりおウチの鍵とか渡しちゃっていいの?
そのくらい、わたしを信頼してくれてるってことなのかな……。そうだとしたら、それは……嬉しいな、なんて。
「…………よしっ。それじゃあ……」
そして、わたしは……そんな みぃ君の信頼を、裏切ることになるかもしれない行動に出るのだった。
△
「キョーコさん!おっ、お待たせしましたっ」
「よう、イナリ。やー……悪いね。突然で」
「いえいえ、全然……!」
(あっ、あれが、あの人がっ……! みぃ君の、恋人……!?)
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます