コミュ障Vtuber、くしゃみ1つでバズり散らかす。〜最強ママと姉と共に〜

美澪久瑠

1章―バズり散らかす―

金銭的問題

なにもしたくない。

そんな自分の欲望に忠実に従っていたら、貯金が尽きた。

親からの仕送りで食いつないでいるが…正直厳しい。


お金欲しい。

何もしたくない。

人と話すの無理。

絶対無理。


いつからこんな腐った20歳になっちまったんだ…。



Prrr... Prrr...


「ぎゃぁお!?」

普段はならない着信音に、俺は飛び跳ねる。

変な声を上げてしまった自分を恥じながら、赤くなった頬をペチペチ叩いて落ち着かせる。

スマホを手に取り、電話に応じる。



「よぉ!!暇だから電話したよ〜姉ですっ!☆」


変に明るい声をだしている女性は、俺…陽太昇ようたのぼるの姉、陽太明音ようたあかねだ。


「なんだよ…姉さんか。俺だって暇じゃ…いや、暇だけどさ…どうしたん?急に電話してきて…。」

「昇も暇じゃ~んやっぱり姉弟!おそろっちやね!」

「…」


あぁ…ニコニコしながら喋りかけてきている明るい茶色の髪の毛のポニーテールを揺らしているギャルの姿が目に浮かぶ…。


俺は、いい部分陽キャの成分を姉が全て取って、俺はそれの悪い部分陰キャの成分を取ってしまった不運な男だ。

学校では、姉のお陰でいじめなどはなんにもなかったが、友達はいなかった。

当たり前だな。

見た目が悪すぎる。


長い黒髪に、真っ黒なクマが目立つ目元。

睨んでいるような目付きの悪さと母親譲りの薄い唇。

ヒョロヒョロと変に高い背と肉がついていない細い体。


根暗だ。


こんなことを考えている俺に永遠に喋りかける姉。


「でさー、Vtuberってやつ、昇がやったら面白そうだなーって!」


いつものオタトーク。

今日はVtuberの話か。

Vtuberくらいは流石の俺も知っている。


Vtuber…

バーチャルVtuberの略で、2Dや、3Dのアバターを使い、配信や、動画投稿を行うYoutuberのことを指す。

しかし、最近はYoutubeのさらにお金稼ぎと、Vtuberにフォーカスを当てた、Vdeliveryブイデリバリーというのがアツいらしい。


「機材とかは私が用意するからぁ…やってみてよぉ!!きっとハマるよ〜!!」

「あー…俺がコミュ障なの知ってるだろ…。言葉選びも得意じゃない俺がVtuberになれるわけ…」

「やってみなきゃわかんないでしょ〜!!私の勘がこれは当たるって告げてる!」


少し興奮したような声をあげて、俺を説得する。

うーん…姉さんの勘は鋭い…。

機材も揃えてくれるらしいけど…うーん…。


「まぁ、やるかどうかは昇次第だけど、機材とかは送っておくね!」


俺次第…?

機材送るって…それはもうやれって言ってるようなもんだろーが!


「まじで大丈夫だから。ホントに。」

「も〜遠慮しないでよぉ〜!もう買っちゃったから!頑張ってねぇ!」

「…は?」


ツーツーと、着信が切れたスマホを見て、おれは呆然と立ち尽くしていた。

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