エロゲのヒロインに僕も地球も征服されそうです

蒼山りと

第1話 征服少女R15ver

 将棋棋士の1日は忙しい。バーチャルガールハントに……。

 この詰将棋を片付ければ、きっと良い出逢いがあるはず。


 俺がやっているのは将棋ではない。征服少女というエロゲーだ……スマホのソシャゲゆえにプラットフォーマとやらの都合で過激なシーンはカットされてしまうのが惜しい


 宇宙艦隊戦を将棋ライクに表現したターン性バトルの戦略ゲームでもあるゲーム内の詰将棋、もとい平面宇宙戦に勝利することで得られるプレミアムデイリーガチャが目的だ。


「よし!」


17手詰めか……。ガチャを回す。


「SSRエカテリーテ」


!!!!!!。マジか!


「銀河帝国女帝エカリーテです。あなたが地球連邦軍に名将ありといわれたノギー将軍ね? でも、平面艦隊戦で無敵のわたくしには敵わないわよ?」


 だが、エロゲ棋士と呼ばれた俺の敵ではない。なんなく俺は彼女の艦隊を蹴散らしていく。俺のゴールドスペースドローンが、彼女の搭乗する旗艦を捉える。画面上部の彼女の顔が歪む。


「くっ、捕えられても女帝としての誇りは失わないわ。私は好きにしてもいいわ。でも部下の将官の命は助けて……」


 よし、エロゲーモードだぜ、俺は彼女の制服を画面をタップしては脱がしていく。

指でタブレット端末の画面を軽く叩くたびに、彼女は喘ぎ声をあげる。


「お願い……下着を脱がさないで……」


 僕は画面をゆっくり見る、あぁ、最高の景色だ。どれだけの長い間彼女の下着姿を味わっただろうか? はぁ、まったく憂鬱だぜ。 意を決して画面の中の彼女の下着を脱がすことにする。


「ちょっと待ったぁ!」


ヤツか……。やっぱりヤツが邪魔するのかよぉ。


「突然ですが、クミコの簡単な詰将棋の時間だぞ?」


 おのれ! 西寺久美子棋聖! 許さんぞ!


 俺は棋士だ。将棋を指して観客を楽しませることを仕事にしている勝負士だ。

 七冠王乃木敏志と呼ばれている。だが将棋にはタイトルは八つある……。俺の八冠への野望をことごとく壊しさり、将棋のタイトル棋聖を決して他にゆずらない西田久美子。彼女こそがこのゲーム、征服少女の監修を行っている女性棋士なのである。


繰り返すがこのゲームはスマホのソシャゲだ。プラットフォーマの都合により、過激なシーンはことごとく、この忌々しい女、西田久美子が規制するという仕様になっている……。


「ピンポン」


くそ、今度はなんだ! 今日はまったくツキから見放されているぜ!


「ピンポン」


「はい! なんでしょうか?」


「ええと、乃木さん? いるんですよね?」

「いません!!」

「居るじゃないですか?」

「いませんよ」

「観念して開けなさい!」

「あけません」

「じゃ、開けます」

間に合うか? チェーンをドアにかけようとする。

「ガチャッ」

悲しいことにドアが開いてしまった。やや背が低い黒髪の少女が、凄まじい力で扉を開けようとする。く、小柄の少女とは思えない怪力だ。俺の必死の抵抗もむなしく、扉は開き、彼女がマンションの玄関に踊り込む。


「乃木さん!」

「は、はい。なんでしょう西田さん」

「チェックメイトですよ」

「ええ」

「さぁ、行きましょう! 師匠がホテルでお待ちです」


……彼女は西田久美子棋聖、俺のライバルであると同時に婚約者……ということになっていた。俺は師匠から、しつこく言われ続けている。彼女と結婚して才能あふれる将棋棋士を後世に残すようにと。



























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