Shooting Star

浅野エミイ

Shooting Star

 お月さまがちょうどお空の真上になってしばらく。わたしはパチンコとあめ玉、そして色鉛筆とスケッチブックをバッグに詰め込み、ランタンを持つと、眠っているお母さんに内緒でお家をこっそりと抜け出しました。

 真っ暗な、誰もいない小道をひたすら歩くと、森の中へ。この森にはわたしの秘密の場所があるのです。

 ホーホーホー、さわさわさわ。フクロウの鳴き声と風が木々の葉を揺らす音が聞こえます。まるで夜のオーケストラ。わたしはそんな音楽を聞きながら、森の奥へと進んでいきます。

 この低い木トンネルをくぐれば例の場所。わたしはちいさいけれど、それでも狭い穴を四つん這いになって前へ前へ。トンネルを抜けたところが、わたしの秘密の場所。森の中なのに、そこは広場みたいになっています。中心に、切り株がひとつ。まるで森の動物さんたちの集会場みたい。私が立ち上がると、ちょうど鳥たちがバサバサバサと羽ばたいて行きました。もしかして、お邪魔だったかなぁ。

 さて、と。私はランタンを置いて、切り株に座ります。色鉛筆とスケッチブックを取り出すと、夜のお絵描き。お外の風に吹かれて、この広場に集まっていそうな動物さんたちの絵を想像で描く。まだまだへたっぴだけど、わたしの夢は絵描きさんになることです。大きなカンバスを前にして、自由に自分色の絵具を塗りたくるような、そんなすごい絵描きさん。お絵描きする私を、お月さまが優しく見守ってくれています。今夜はとても明るい晩。雲ひとつない夜です。

 バッグの中にはもうひとつ。大きな動物さんにあったときのために持ってきたパチンコ。これで流れ星を撃ち落とせないかなぁと、空に向けてゴムを引っ張る。ばあん。

 また、強い風が吹いて置いてあったスケッチブックのページがめくれたそのとき。空を見上げるとすうっと流れ星。ひとつ、ふたつ、ううん、とっても数えきれない。きっとパチンコの弾が、星に当たったんだ。だからいっぱいの流れ星が空から落ち始めたんだ。

 流れ星はどこへ落ちるのだろう。その星には、宇宙人が乗っているのかな。もし宇宙人に会ったら、持っているあめ玉をあげて、お友達になろう。

 お月さまが照らす中、空を眺めながらわたしはずっとそんなことを考えていました。

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Shooting Star 浅野エミイ @e31_asano

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