第5話
シーン17: 運命の分岐点
爆風の余韻が収まった後、沙羅たちはしばらくの間、息を潜めていた。ティガレックスは爆発で一時的に後退したものの、依然としてその脅威を放ち続けている。だが、沙羅の頭の中では、それとは別の思考が渦巻いていた。
「このままじゃ、絶対に終わらない…」彼女は息を呑み、周囲を見渡す。
手術室のような施設の廃墟に足を踏み入れてから数分、何か異常な気配を感じた。空気が湿っていて、嫌な臭いが立ち込めていた。ふと、壁に張られた看板が目に入る。「Beウィルス研究所」。
その瞬間、沙羅の脳裏に浮かんだのは、「スネークヘッド」と呼ばれる生物兵器だった。彼女は、その危険物がどこかに隠されていることを直感的に感じ取った。それが研究所の深部にあるはずだ。
「沙羅、行こう!」仲間の一人が声をかけるが、沙羅はその声に応じず、さらに進む決意を固めた。
「この施設には何かがある。私たちの命をかけてでも、ここで止めなきゃいけないことがあるんだ。」沙羅は、言葉少なく歩を進める。
その時、突然、銅鑼の音が響き渡った。どこからともなく、低く、そして不気味な音が響いてくる。彼女は立ち止まり、音の方向を見定める。その音は、ただの警告音ではない。何かが目の前で動き始めている。暗闇の中から、不自然に大きな影が忍び寄ってきた。
「これ、何だ?」仲間の一人が震えながら言った。
その影から現れたのは、かつて「ツインビー」として知られた生物兵器、改良型の変異体だった。異常に肥大化し、無数の触手と金属的なパーツが絡みついたその姿は、かつてのツインビーとは全く異なり、もはや人間にとっての恐怖そのものだった。
「これが…スネークヘッド?」沙羅は恐怖を感じつつも、冷静にその状況を把握しようとする。
その生物兵器は、まるで沙羅たちを試すようにじりじりと近づいてきた。触手が不気味に動き、周囲の瓦礫を無造作に引き裂きながら進む。その動きは、まるで生き物のように柔軟で、どこか人間の知恵を感じさせるものだった。
「どうする?」一人の仲間が息を呑みながら問いかける。
沙羅はその瞬間、決断を下した。彼女の中に芽生えていた新たな思いが、今の状況を打破するために必要な力となる。
「私が引き付ける。お前たちはその隙に進んで。」沙羅は振り向き、仲間に指示を出す。その目は、どこか決意に満ちていた。
「沙羅、無理だ!危険すぎる!」仲間が必死に反論するが、沙羅はそれを振り払い、瞬時に動き出した。
彼女は、近くに転がっていた金属のパイプを拾い上げ、ツインビーに向かって突進する。その攻撃を引き寄せ、時間を稼ぐことで仲間たちが先に進む時間を作るつもりだった。
ツインビーは触手を振り回し、沙羅に向けて凄まじい速さで襲いかかってきた。だが、沙羅はそれを予測し、身をかわしながらその足元を狙う。どれだけ彼女が傷つこうとも、仲間たちが無事に脱出できるのなら、それだけで十分だと信じていた。
その時、施設の深部から、突然に爆発音が響いた。
「何だ、あれ?」沙羅はその音に一瞬目を奪われる。爆発が響いたのは、研究データが隠されていると言われる部屋だった。
その爆発の余波が、ツインビーにも影響を与え、少しだけ動きが鈍った。その隙をついて、沙羅は再び動き出し、仲間たちに叫ぶ。
「今だ!急げ!」
そして、その瞬間、彼女の目の前で、巨大なスネークヘッドがついにその姿を現した。最も恐ろしい試練が、今、目の前に立ちふさがっている。
妄想ゲーム ❤が3になったら誰かにポイントあげる 鷹山トシキ @1982
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