ある朝、不仲の妹が隣で全裸で寝ていていきなりデレ始めたのだが!?
雲雀湯@てんびんアニメ化企画進行中
第1章
人喰い虎な素直な妹
第1話 不仲の妹が全裸で隣で寝てる件
その女の子とは同じ家に住んではいるが、ここ数年ロクに会話した記憶がない。
「邪魔」
投げつけられる言葉なんて、大体いつもこんな感じだ。
今だってリビングの扉で居合わせただけなのにこの仕打ち。
ちなみにそれに加えて「うざい」「くさい」「きもい」以外の発言の記憶を探すのが難しい。
彼女は俺と同じ中高一貫の学校に通う、1つ下の高校一年生。
お察しの通り、俺は妹と仲が悪い。
そんな妹だけど、外面は良くてそれはもうモテる。
クリッとしたツリ目勝ちにスッキリとした鼻筋は可愛いと言うより綺麗な感じ。
手足もスラっとしていて、そのくせ胸に凶悪なサイズのものをお持ちである。
兄の目から見ても美少女だと思う。
そんな美少女に罵られるなんて、一部の人にはご褒美かもしれないが、生憎と俺にはそんな属性はない。
むしろ妹とはいえ、美少女にそんな事言われるのは結構胸にクる。
仲良くしたいとまでは言わないけれど、せめて悪態をつくのはやめて欲しいかな?
それがこの俺、
昔は纏わりつくかのように、甘えることもあったのにな……
思春期の兄妹なんてこんなもんか。
その日、俺はそんな事を呑気に考えていた。
…………
……………………
よし、まずは落ち着こう。
ここはどこだ? ――俺の部屋だな。
今はいつだ? ――朝起きたところだ。
俺の右腕を腕枕にしているのは誰だ? ――妹だな。
あ、女の子ってものすごく柔らかいんですね。
何で全裸なの? ――知らねーよ!
うん、シミ一つない肌ってこういうのを言うのかな?
どうしてこうなったの? ――わかったら苦労しねーよ!
腕にかかる髪の毛とかサラサラすぎて触ってるだけで気持ちいい……
って、やばいやばいやばい。
小春が目を覚ましたら死ぬ。殺される。物理的にも社会的にも!
俺のアレがきゅぅんと縮こまっていくのがわかる。
とりあえず……よし、俺は服を着てるな。最悪の事態は避けられるぞ!
これなら死体になっても、鞭を打たれるのは回避できる!
って、ダメじゃん! 死んでんじゃん!
「ん、んう…………?」
小春が目を覚ましてしまった。
嗚呼、終わりだ。
身動ぎしながら目を擦る小春はとても可愛らしく、そして俺には死神がゆっくり目を覚ましているようにも見えた。人食い虎が寝起きに顔を洗っている、でもいい。
「…………」
「…………」
あ、目が合った。
俺、死んだ。
人生で一度くらい彼女が欲しかった。
非モテ人生を儚んでいる俺に
「お、おはょ、おにいちゃん……」
……うん? オニイチャン?
一体オニイチャンさんとは、どちら様なのだろう?
混乱する俺に、腕の中の頬を染めた
あれかな? マーキングかな?
かかる吐息がくすぐったいんですが!
人食い虎にじゃれつかれてるようで怖いんですが!
ええっと、何がどうなってんの?!
「恥ずかしいから、あまりこっち見ないで」
「お、おぅ」
裸ということに気付いたのか、顔を真っ赤にしながら胸元をシーツで隠す全裸の妹。
それを横目でチラチラと見る兄。
ヤバイ。
何がヤバイかって、ベッドの上で実妹が照れくさそうにブラをつけている、このシチュエーションがやばい。
昨日までの態度を考えると、何か裏があってやってるんじゃないかと戦々恐々している心の中がやばい。
艶のある長い髪が朝日に反射して、まるで一枚の絵画染みているその光景を、可愛いと思ってしまう俺がやばい。
そして何より倫理的にやばい。
いやいやいや、どーしてこうなった!
思わず頭が痛くなってくる。
お腹もぐるぐる気持ち悪い。
思い出せ、昨日何があったのか!
ええっと確か昨日は――
……
…………
……………………
※※※※※※※※
この作品はギャグ成分マシマシでお送りします。
部屋を明るくして親から隠れて読んでください。
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