相棒は僕自身

スノウキラ

僕じゃない声

「止めないで!!」


 僕は放課後に死のうとした。


 しかし、そこには幼馴染の網倉ひよりが立っていた。


「だって紅夜が怖い目してたから……」

「そんな目してないよ。」

「してたよ。今でも恐ろしいよ!」


 僕は理解出来なかった。


 普通の感じを演じていたのに。


「だっていつも私の声は無視しないのに今日は無視したんだら。」


 僕の記憶にはひよりが話しかけた記憶はない。


 そんなにやばかったのだろうか?


「気のせいだよ。ただ僕は考え事をしてただけだよ。」

「じゃあここで何してるの?」

「外の空気に触れてるだけだよ。」

「なんで今にも飛び降りそうな位置なの?」


 僕は屋上の柵に座っていた。


「別にひよりには関係ないよ」

「いじめられてるんでしょ?」


 そうだ。僕はいじめられている。


「話ぐらい私が聞くよ!」

「大丈夫だよ」

「何で?」

「別に話しても面白くないしさ」

「少し楽になるかもしれないし、何か私も手伝えるよ!」


 ひよりには言えないがそれが迷惑なんだ。


 僕は彼女と仲良くしているせいでいじめを受けている。

 

 ひよりは可愛いから彼女と話したい人は居るが大体僕と話しているのでそれに嫉妬していじめをする人が多い。


 なのでひよりに話しても何も解決しない。


「いじめてる人は分かるからちょっと言ってくるよ!」

「それが迷惑なんだよ!」

「紅夜?」


 僕は声を出していない。でも周りには誰も居ない。ひよりも驚いている。


「その気遣いが俺を苦しめてるんだろ?」


 誰なんだ?


 僕は俺なんて言わない。


「私は紅夜が可哀想と思って!」

「そんな正義感じゃ誰も救えない」


 ひよりは正義感は強いがそれは彼女が優しいからだ。それを僕は言った事がなかった。


「変だよ?」


 確かに変だな。この状況は。でもここで、僕が話しかけると可笑しな事になりそうだ。


「気のせいだ、帰るから退け」

「でも!」

「今日はひよりに話す事はない」


 ひよりの事も知っている。


 本当にこの人は誰なんだ?


「分かったよ」


 ひよりは落ち込みながら帰った。


 よし、これで誰も居ない。


「僕に入っている君はだれなんだ?」

「俺はお前だよ、別の世界のな!」


 僕は意味が分からなかった。


 しかし彼との出会いによって僕の人生が大幅に変わる事をこの頃の僕はまだ知らない。

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