第7話:水の出ない噴水。
「は〜い・・・洋太郎様がお帰りなったようです」
「私、すぐ玄関に迎えに行ってきます」
「ようやく帰ってきやがったか・・・バカ長男が・・・」
自分を訪ねて客が来てるってことをメイドの安ちゃんから聞いたんだろう。
洋太郎はすぐに応接室までやって来た。
「警察が私に用とは、なにかね?」
「どうも・・警視庁殺人課の
「さっそくですが、西園寺 善右衛門さんが行方不明だとか、そうお聞きしまして」
「ああ、そのことですか?」
「そのことなら、もう捜索願を出してるはずですが・・・」
「行方不明なんかじゃなくて、あんたが殺したからだろ?」
公介はきなり洋太郎を殺人者よばわりした。
「なんだね、君は、いきなり・・・」
「無作法で申し訳ない・・・こいつらは私の部下でして・・・」
「それにしても失礼な、人を人殺しみたいに・・・」
「だいいち、なんで私が実の父親を殺さなくちゃいけないんだ」
「証拠でもあるのかね?」
その時だった。
「お坊っちゃま・・・お久しぶりです」
「・・・・・」
「あ・・・おまえは・・・元子・・・なんで?」
「私を壊してゴミ捨て場に捨てたはずなのに、なんでここにいるんだって
顔してますよ」
するとすかさず罵倒さんが言った。
「洋太郎さん・・・この子が全部見てんだよ、あんたが善右衛門さんの
首を絞めてるところをな」
「殺人現場を見られたあんたは元子の頭を後ろから鈍器で殴っただろ」
「だけどな、人間と違ってガイノイドの脳はちょっとやそっとじゃ破壊
できないんだよ」
「毎日世話になってるメイドにひどいことしやがって」
今度は公介がくってかかった。
「殺人の検証をしなくても、こんなにはっきりした目撃者がいるんだ」
「観念したらどうかね」
「ガイノイドの言うことなんか信用できるか・・・」
「いやいや、たとえガイノイドであったとしてもこの子の証言はちゃん
と生きてる・・・むしろあやふやな人間の記憶より確かだ」
「私、旦那様のご遺体が埋められてるとこ分かります」
「まじで?・・・元子ちゃん、分かるの?」
「うん、分かるよ吉光さん・・・私のゴーストがそう囁くの」
「元子・・・おまえが記憶してるのはこいつが善右衛門さんを殺すところ
だけだろ?」
公介は確かめるように言った。
「公介さん・・・あのね、私がこのお屋敷にいた時、あのお庭の噴水、水が
出てたんだよ」
「今見たら出てないよね・・・西園寺家が水道代なんか節約すると思う?」
つづく。
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