第5話:俺の彼女。

「セクハラ?・・・そんなこと言ってたら俺は一言もしゃべれなくなるよ」


「公介、元子をからかってないで、早く警察へ行こうぜ」


「そうだな・・・行くか、吉光」


「私も連れてって・・・」


「もちろん・・・殺人の目撃証人だもんな、元子は・・・」


そんな訳で公介と吉光と元子は、さっそく警察に出かけた。

警察の捜査一課に、公介の知り合いの「罵倒ばとう刑事部長」って人がいる。

公介と罵倒は因縁の関係なんだけど、どんな関係かはそれはまたいずれ・・・。


「おう、公介・・・吉光も・・・なにしに来た?」

「高校生の分際で探偵たあ、世間を舐めてるよな?」


「罵倒さん、俺の顔を見るたびそれだな、バカの一つ覚えみたいに」

「実はちょっと聞いて欲しいことがあるんすけど・・・」


「聞いて欲しいことだと?なんだ公介」


「あのさ・・・どこかで誰かが殺されてるって言ったら?」


「それは聞き捨てならんな、いい加減な話じゃねえだろうな?」


「罵倒さん、最近「西園寺」って金持ちの屋敷からから行方不明者の届け出、

出てないすか?」

「元子・・・なんて名前だっけ、おまえの元主人」


「西園寺 善右衛門」


「ですって・・・その善右衛門さん、もしかして行方不明の届けが出てるかも

しれないんです」


「公介・・・その子は?」


「この子は元子って言って・・・俺の彼女っす」


「え?私、いつか公介さんの彼女になったの?」


「まあ、公介だからな・・・元子ちゃん早めに受け入れたほうがいいよ」


吉光が横槍を出した。


「元子は俺が助けたんだから、俺に所有権あるの、だから元子は俺の天使なの」

「な、ことより調べてくれよ、行方不明者の中に西園寺って名前があるかどうかさ」


「分かったよ・・・ちょっと待ってろ?」


つうことで案の定、公介の憶測どおり西園寺家から主人が行方不明だって届けが

出ていた。

なんでも当主の善右衛門は朝、会社に出かけて行って昼前には帰ってくるはずだったんだが、その後二・三日待ってみたが結局帰ってこなかったらしい。


で、やむなく警察に行方不明の届けを出したと・・・。


「やっぱりか・・・」


「これか?・・・この西園寺家ってなあ、なんだ?」


「西園寺家の当主、もしかしたら殺されてるかもしれないんだ」


「どう言うこった、それ?」


「ここからは元子の出番だな、俺がしゃべると間違ったこと伝える可能性

あるからな」


で、元子は公介に話した出来事をもう一度、罵倒刑事部長に話した。


「この子はガイノイドか?」

「なるほどな・・・その子が殺人現場を目撃したってわけか?」

「その子の記憶は人間の記憶と違って揺るぎない証拠だな」


「そ、俺の彼女・・・この子は俺の彼女っす」

「天使でよかったんだよ元子、もし人間だったら脳挫傷でとっくに死んでるよ」


「天使だと?・・・その子、セクサロイドか?」

「なるほど、この子が天使だから公介が助けたのか・・・このスケベが」


「そんな下心で私を助けたんですか?公介さん・・・」


「なんか問題でも?」


「ほんとスケベ・・・それに勝手に彼女って・・・」


「今時、天使が彼女なんて珍しくもないの・・・いいの元子が俺の彼女で・・・」


「公介さん、強引です」


「ゴーイングマイウェイだよ」


「なにそれ、紀元前のギャグじゃないですか?つまんないです」


「おいおい、おまえら惚気のろけはやめろ・・・他でやれ」

「それより、この子の話が本当なら、どっちにしても西園寺家に乗り込ま

なくちゃならんな、公介・・・吉光」


つづく。




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