クズ男と氷姫の日常

どこかの大学1年生

第0話 これが日常だぜ?

「ねえ、拓海。あんた男女の友情って信じる?

 

 とある日の冬休み某日俺の幼稚園からの幼なじみ、寒川愛梨の家で漫画を読んでいるおれに家主はそんな質問をしてきた。

 五分間口を開かないと思えば何を言い出すのかと思えば。

 

「いきなりどうしたお前。変な色のキノコでも食べたか?」

 

 普段こんなことを言い出す奴ではないので若干の動揺はあったができる限り隠した。


「……あんたに質問した私がバカだったわ」

 

 やれやれといった表情で頭に手を当てている愛梨の姿がここにあった。

 

「まあ、真剣な話。抱ける奴なら成立しないし、抱けない奴なら成立するんじゃね?」」

 

 自分でもなかなかにクズなことを言っている自覚はある。

 

「というと?」

 

 割と真剣な表情で愛梨が聞いてきたので真面目に解説することにした。

 

「抱ける女だったら一緒にいてもどうしてもそっち系の思考が頭に入ってるだろ?」

 

「男ってやっぱカスだわ」

 

 今にも手を出しそうな愛梨がとても怖いが無視して話をすることにした。

 

「じゃあ逆に抱けない女の場合は?全くそっちの発想にならないから男友達と何ら変わりなく、友情成立!って感じだな。じゃなかったら俺とお前の友情が成立がしていることがおかしいだろ?」

 

 発想としては人間として最底辺だがまあ筋は通っている……気がする。

 それよりもピキっている愛梨が怖い。

 

「あんた、それ遠回しに私を抱けないカス女って言いってるわよね?」

 

 そこまでは言ってないのだが。

 

「何?抱かれてみる?」

 

 ここで俺は愛梨に近づく。

 幸いここは愛梨の家、ベッドがある。

 その瞬間俺の首近くを愛梨の手刀がかすめた。空手八段は伊達じゃねえな。

 

「殺すわよ……マジで」

 

「冗談じゃん!いつもの冗談じゃん」

 

 余裕ぶっているが心臓はバクバクである。

 

「やっぱあんたってクズだわ。ギャンブルはするしタバコは吸うし酒カスだし適当な女ひっかけて半分ヒモ生活だし」

 

 こうやって色々言われると心にくるものだな。よく考えなくても俺クズだわ……。

 

「これも一つの生活方法だろ?」

 

 これがおれから言える最大限の反論である。

 気まずい雰囲気が流れる中俺の携帯が鳴った。画面には咲希と書かれている。

 

「咲希?あんたまた新しい女ひっかけたの?」

 

 愛梨はまたかよ……みたいな表情をしている。

 だがこの女は違う。

 

「ちげーよ。一回ヤったらそれ以降彼女ヅラしててめんどくさいんだ。無視でいーよ」

 

「やっぱあんたカスだわ。顔しか取り柄ないわね」

 

「愛梨それはお互い様だな。笑顔を見せない氷姫」

 

「次その呼び方したらしばくわよ」

 

 そう言って愛梨は手刀を構える。

 今にも手刀でバラバラにされそうな雰囲気が漂っていた。


「とりあえずこの漫画の六巻取って」

 

 

 誤魔化すように漫画を取ってもらい十分前と同じく漫画に目を通していくのだった。

 

「自分で取りなさいよ」

 

 んーそううまくはいかないなこの女。

 

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クズ男と氷姫の日常 どこかの大学1年生 @nemumusuimin

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