X ta sea .
永黎 星雫々
Ⅰ:ecstasy
―― やがて今日も明日も過去になる。
苦し紛れの空気、吐き出されてゆく人、人、人。
この世から追い出されるみたいに車内から消える人間という骨と肉の塊共は、腐敗した廃棄物である。自分自身も、そこで横たわる酔っ払いも、立派たる者だと肩を叩かれた魂の召されたサラリーマンも、夢追いのバンドマンであろうと、誰かの肩を叩いた重役様も。
――価値。そうだな、人間という価値に差はある。生きる価値というものか、消える価値というものか。誰かのためにならないのか、なるのか。この者が消えれば困ると嘆く誰かも、すぐさま似通った廃棄物を連れてきては配置し、出会い直して、巡り巡っても結局同じ世界を回るだけ。誰にでも羽がある。広げるか、広げないかの違いだけが存在していて、それは価値にも似通った証拠のようなものだと思う。縋る価値があろうとも、輪廻転生は防げられない。
鉄の個体が裂いてゆく。浸透した闇で深く染められ、暴きたいと願う者のその先に待ち侘びるのは憎き恍惚なのかもしれない。復讐たる遭逢で裁きを下せるか。誘いこそが、エクスタシー。
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