6話 帰路と提案
「ふんふんふん〜」
「……メリーちゃん今日ずっとご機嫌だね」
「……ふふ、そうかなぁ?」
うきうきでいい笑顔をしているメリーちゃんを見ながら私はさっきやっていた体育のバレーを思い出す。
学食でご飯を食べたあと、私たちは体育でバレーをした。せっかくの縁ということでサルネ様からチームに誘ってもらって私たちは一緒にプレイをした。
メリーちゃんはどうやらサルネ様の大ファンだったらしく、その興奮からものすごい動きを見せていた。
元凶であるサルネ様もやはり見た目通り運動神経が良く、メリーちゃんが落とした球を綺麗に跳ね返したりしていた。
そして、ハナちゃんも相手の攻撃をうまくとっていて、……マオさんに関しては、クソ早いし、全部取るし、全部ブロックするしでわけがわからなかった。
後で聞いたのだが、ハナちゃんはどうやらサルネ様の護衛をやっているようでその運動神経の良さには納得した。ただのメイドであるマオさんに関しては完璧メイドだったのだと納得することにした。
……ちなみに私はというと、玉がなんも来ないので、ただ傍観しているだけだった。
まあ、そんな楽しい時間を終え、そろそろ学校が終わる時間になってきた。
初日にしてとても濃い一日だったが、結構楽しかった。
—キーンコーン—
6時間目の終わりのチャイムが鳴った、とうとう帰宅の時間である。
「じゃあ、また明日」
「うん、また明日ね」
怒涛の一日の終わりは案外早く、そう軽く挨拶を終え私は帰り道を歩いている。
私は馬車での登校をしていて、その馬車が学園から歩いて5分のところにあるのだ。なので今はそこを目指している。
そんな中で私が気になっているのはやはりクラメルのこと、彼女の顔を初めて見たときからどうしても彼女のことが気になるのだ。
こう、もやもやとするというか……心に引っかかるような、そういった言葉には表しにくい感じがずっとしている。
「……なんなんだろうな、この気持ち」
その後も色々考えてみたもののやはり、この気持ちの理由がわからなかった。
そして、そんなことを考えるうちに私は迎えの馬車に到着していた。
「……あ!! マリー様、お帰りなさいませ」
「あ、ルイちゃん。ただいま~」
そうして馬車の前で待っていたのは私の専属メイドであるルイちゃんだ。私が10歳の時に6歳でメイドになった子で茶髪のセミロングで犬みたいな癖毛が特徴の現在12歳の少女である。
私にとっては妹みたいな存在でとても可愛がっている。
「ただいまルイちゃん。お迎えありがとうね」
「う…もう、マリー様。頭撫でないでくださいよ。もう私子供じゃ貸さないんですから」
そう言って恥ずかしそうにしているが頭を撫でるのを嫌がる素振りはない。
うん、可愛い。
「もう行きますよ!マリー様。……まったくもう!」
「はいはい」
****
うちまではこの馬車を使って20分ぐらいのところにある。歩くには少し遠く、馬車で行くには少し近いといった絶妙な距離である。
「マリー様、学校生活はどうでしたか?」
「楽しかったよ。友達もできたし、一日目にしては上出来だったと思う。」
「良かったですねマリー様」
「あ、でも一つだけ気になることがあるの」
「なんですか?」
「うちのクラスに嫌われている子がいてさ、すごい悪い噂もいっぱいあるらしいんだけど、どうしてもそんなように見えなくて……。確かに人を避けてはいるんだけど、あそこまで嫌われる人じゃない気がするんだ」
「なるほど……」
「それでね、今日少し会話しただけなのになんかずっと気になっていてさ、……これって何なのかな?」
「そういうことですか……それなら私から言えることは一つだけですね。マリー様がしたいようにすべきだと思います。」
「あの、それがわからないから聞いているんだけど」
「いえ、マリー様はとっくに気づいていると思いますよ。」
その後、結局私は答えをもらえないまま家に着いた。まぁ、ウジウジ考えていても仕方がないので私は気持ちを切り替えて家でリラックスすることにした。
あのあと一応、サルネ様のことを話したのだが、案の定というかなんというかルイちゃんは大横転した。
*
次の日、私は二日目を実はウッキウキで来ている。
何を隠そう、今日は昨日仲良くなれたメリーちゃんたちとお茶会の約束をしようとしているからだ。
まだ決まってもいないが、やはりどうしても楽しみで今からわくわくしているわけだ。
「おはよーマリーちゃん」
「おはようメリーちゃん」
そうして、今日も教室に入っていつもの通りに挨拶を交わす。
今日は二日目、その挨拶だけでもやっぱり一日頑張りたいと思える。
「おはようございます、クラメル様」
「……え? マリーちゃん?」
せっかくなので、と私が思い切ってクラメルにも挨拶をするとメリーちゃんからは困惑の声が聞こえる。
「……おはよう」
「ふふ、今日もよろしくお願いしますね」
「……」
ただ無視されるだけかと思っていたが、意外にもクラメルは挨拶を返してくれて私はそれが少しうれしく思う。
そして、振り返るとこちらを心配そうに見つめるメリーちゃんがいた。
「……大丈夫だよメリーちゃん。ただあいさつしただけだって」
「……そう、だけど…」
「もう、そんな顔しないで……あ、そうだ。ねえメリーちゃん」
大丈夫だよ、といってもなかなかメリーちゃんの顔は晴れない。
別にそこまで心配するようなこともないと思うが、この顔のままなのは困る。
だが、少し考えて私は―――
「うん?」
「―――週末お茶会しない?」
逆にいい機会だと思ってメリーちゃんをお茶会に誘ったのだった。
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