薬師巫女〜落ちこぼれ巫女、薬師になる〜

及川稜夏

プロローグ〜巫女の集落〜

 深い谷の底に、巫女たちの住む集落が存在する。

 そこでは、大巫女を中心とした体制が敷かれ、石造りの館で巫女たちは日々行く末を占い、人を癒す術や巫術を学んでいる。

 人々を癒すため巫術を使い、数年に一度の『星祭』のために舞い占う。


 鈴は幼い頃からこの集落で暮らし、両親を知らず巫女たちに囲まれて育った。

 占いを覚えようとし、人を癒す術を知り、数々の祭事を見聞きした。

 だが15年経った今も、鈴は巫術を使いこなすことができない。

 巫女になっても雑用や幼巫女の世話を押しつけられ、周りからは冷笑される毎日。

 気がつけば、落ちこぼれの烙印を押されていた。しかし集落の外を知らず、巫女の集落だけが鈴にとっての世界の全てだった。

 彼女の状況が一変したのは、大巫女に呼び出されたあの日からだ。


 これは、鈴が自分自身を見つけるための物語。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る