第3話 stay Walk
未来は、暗かった。
現在も暗いだろう。
けど———ただ一つ。小説家を目指してやまない生き方の違う少女二人の、物語だ。
「きゃっ!」
「わっ!」
桜ノ下木高校の廊下の角でぶつかる、それが二人の出会いらしい。
バサァ、っと広がったA4サイズの原稿用紙やその他もろもろの用紙に慌てていたのは、朝神奈の方だった。顔を赤らめながら、「すみません!すぐ拾います」と落ちゆく長い髪を整えながら、整理する。そう彼女はA型なのだ。
それに引き換え舟は心の中で「ヤンキーに絡まれた!どうしよう」と鼓動をバクバク言わせながらただ時が立つのを待っていた。
「何やってんだ。あんたも少しは拾え」
と朝神奈は屈託のない笑顔で舟はまだ状況が掴めてない。———でも、ここで迷っていても仕方がない。ならば相手を信じて、行動するのも悪くないと思う。
「分かりました!」
「え!?」
高速な手捌きと高度な判断で一のミスなく相手に渡す。
「出来ました!」
それは綺麗に整った紙の
「ありがとう。助かったよ! ところであんた名前は?」
「舟材他です」
「そうか、いい名前だな。わ……」
———オレは……
これはこれから小説家を目指す二人の若き女のある年に起きた伝説の記録である。
※この物語はフィクションです。実際の人物、団体とは一切関係ありません。
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