触48・触手さん怒りの鉄槌
頑丈そうな重量感のある鉄製の大きな門が爆風で盛大にひしゃげて吹き飛ばされていく。
通れるようになったので、ゆっくりと中に入って行くと、数人の兵士が各々武器を構えて立ち塞がる。
「て、敵襲ー!!何かが侵入して来たぞー!!」
「総員、迎撃に当たれー!!」
生産工場中で鐘が鳴り響き、兵士達が慌ただしく駈け走る。
各区域からは火の手も上がり始めていた。
……
…………
遡ること10分程前、私達は工場の近くまで来ていた。
ま~でっかいことでっかいこと、要塞かよってレベル。
これ、端から端までどんだけあんの、向こうの方が見えないんだけど。
工場の周囲が高い壁に囲まれてて中がよ~分からんけど、あっちこっち巨大な煙突が建ってて、それから黙々と黒煙が出続けている。
臭いの原因は主にこれだろうか?海側には太いパイプが伸びていて、得体の知れない液体が噴出している、これも大層臭う。
そんな汚物垂れ流し工場を前に作戦会議。
と言っても大層な策があるわけでもなく、内容はあっさりと決まった。
私が正面から乗り込み騒ぎを起こし注意を引いてる間に、皆は他の箇所から侵入して内部を徹底的に破壊して周る。
今回は救助も一切無いため、ド派手にぶっ壊すことにした、容赦等無い。
火も放って貰う、クオが爆弾持ってるそうなんでそれも使ってしまおう。
ということで、私とそれ以外で分かれて作戦開始だ!!
クオから分けて貰った手榴弾からピンを抜くと、風の魔法で門目掛けて飛ばす。
……
…………
「ま、魔物だと!?」
「魔物が入って来たぞ!!」
私を見た兵士達が次々に叫ぶと武器をこちらに構える。
悪いんだけど、今回は容赦せんぞ、死んでも知らんからな。
私は怒っているのだ。
斬りかかってくる兵士を触手で鞭のようにして凪ぎ払う、しなった触手が後ろに居た奴等を纏めて軽々と吹き飛ばして兵士達が壁に叩き付けられた。
「ひ、怯むな!!攻撃を続けろ!!」
今度は左右に展開してまたもや斬りかかると、それぞれの触手でぶん殴って迎撃してやる。
まるでボールのように次々と飛んでいき地面へと落ちていく。
「ば、化物め……」
「こ、こいつがモル大森林やウチャデ鉱脈に現れた魔物なのか……?」
おや、何か私のこと広まってんのか。
どうでもいいけど。
辺りが焦げ臭くなってきた、見れば火災が大きくなってきたようで、あちこちで燃えているのが確認できた、時折爆発音も聞こえてくる。
作戦は順調のようである。
「くそっ!!こいつ以外にも!!」
「一部は中に入り込んでる連中の対処と消化に当たれ!!」
「こうなったらまだ実験段階だが、アレを出すぞ!!」
兵士達が次々に叫ぶ。
……アレ?
兵士の一人が何か筒みたいなのを懐から取り出すと上空へ先端を向けた。
すると中から何か飛び出して空中で盛大に弾けた。
これは信号弾か?
すると、工場の方から『グルアァァァァァ!!!』と獣のような咆哮が聞こえてきた。
見ると、開いた工場の入口からズシンズシンと重い音を立てながら黒煙を掻き分け、何か大きい物がでてきた。
獅子とワシに山羊の頭部、屈強な獣の胴体、そして大蛇の尻尾、これは………いや、何か見たことあるぞ?
「はっはっは!!このキマイラで倒してくれる!!まだ制御に難が有るが、致し方あるまい、やれキマイラ!!そいつを倒せ!!!」
あ~そうそう、それそれ、ゲームでよく出てくる中ボス。
再び咆哮を上げると、キマイラは三つの頭からそれぞれに火球を吐き出してきた。
あっちぃ!!
どうやら魔法ではないようで、直撃すると私の肌を軽く焼いた。
立て続けに火球を吐き出してくるそれを乙女汁シールドで防ぎきる。
流石に食らい続けてやるつもりはない。
火球は効かないと思ったのか、今度は突っ込んで来て鋭く大きな両爪で切り裂いてくる。
結構素早いな!!何とか乙女汁シールドで防ぐと、尻尾をこちらに向けて大蛇の口が大きく開く。
すると中から紫色の霧が噴射され、視界が塞がれる。
目眩まし?違う!!毒霧か!!
肌がビリビリとひりつく、見れば食らった箇所が真っ赤に腫れていた。
こりゃ結構ダメージでかいな、直撃するとあまり宜しくない。
風魔法を噴出して距離を離す。
近寄るとあの毒霧が来るか、となると…………
私は乙女汁と土魔法で私や、それよりも大きいキマイラよりも巨大なハンマーを作り出した。
柄がかなり長く、持ち上げるにも重いので風魔法で制御する。
これで粉砕してやる!!
乙女汁、クラッシャアァァァァァァ!!!
風のブーストで勢いが増したハンマーがキマイラを工場の一部や兵士を巻き込み降り下ろされた。
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