触36・触手さん大暴れする
私とピヨ彦にメアリー、そしてエルフ2人によるパーティは一路、エルフ達が囚われている砦を目指す。
背の高いのがビノセ、胸のデカイのがパディカというらしい。
二人が先導して私達を砦に連れていってくれる模様。
「御子様、大精霊様から頂いた御力は如何でしょうか」
前を歩いてるビノセが話しかけてくる。
森を出るときに大精霊からある物を貰ったのだ。小さな飴玉みたいなんだけど、大精霊の力を封じ込めてるらしくて、使うと風の魔法が使えるとかなんとか。
でまぁ……それを飲み込めばいいってんで飲んだんだけどさ、ま~調子悪いのなんの。
さっきまでず~っとお腹ギュルギュルいってたのよ。
下剤か何かかこれは。
や~っと収まったんだけど、危うく乙女のピンチになるとこだったわ。
で、如何でしょうかと言われてもな~、得に変わったとこは……
いやあるな、何だろ、お腹の中に何か溜まってるような……
あ待って、何か出そう、つかゲップ出そ……
グェェップ
デカイゲップと共にあらゆる口から風が吹き出した。
吐息とかじゃなくて風、豪快に噴出した風が草を盛大に揺らす。
それを呆然と見るメアリーとエルフ2人。
え、今のまさか魔法なん?
ゲップ魔法とか下品じゃない?我乙女ぞ?
尻から出ないだけマシかもしれんが。
【魔力を感じましたので今のは魔法のようです】
マジかよメアリーさん、ゲップ魔法は嫌だぞ、何か他にないか後で試すか。
「と、とりあえず魔法は使えるようで何よりです」
ソウデスネー、あんま嬉しくないけどね~これだと。
せめてメアリーみたいには使えるようにせんとなぁ。
それから暫くして、石の壁に囲まれた建物が見えてきた。
あれが砦ってやつか、結構でかいな、うちの神殿より大きいかも。
「あれが我々の同胞が捕らえられている砦です、私とパディカが内部に侵入して救助しますので、御子様は陽動をお願いしたく」
私が中入っても狭そうだし目立ち過ぎてロクに助けられなそうだもんな、それでいいか。
【メアリー、2人について行って】
【分かりました】
一応メアリーも同行させておく、メアリー強いっぽいから役にたつだろう。
メアリーとエルフ2人が壁を伝って登り中に入っていく。
さ~て、一暴れしてヘイトこっちに向けるか~
砦の入口に向かって進んで行くと、中から鐘の音が鳴り響く、お、気がついたかな?
正面の門が開くと武装した連中がワラワラと飛び出してきた。
「何だあの魔物は!?」
「何と禍々しい……こっちに向かって来るぞ、迎撃しろ!!」
お~、言ってることが分かる分かる、言語覚えた甲斐があるってもんだ。
どうやら私に釘付けみたいだ、まだ恐怖発動してないみたいだけど時間の問題だろう。
「弓兵及び魔導兵構え、撃て!!」
隊長らしき兵の号令と共に矢と火炎弾が雨あられと私に降り注ぐ。
魔法は効かないけど物理的なのはどうなんかね、触手を振り回してみる。
ん~、痛くも痒くもないな~、何本か直撃したんだけど刺さるどころか傷1つ付かんね、叩き落とした矢が私の周囲に散らばっていく。
洞窟の中に居た魔物の方がよっぽど強いんじゃ?
「くそっ、全く効いていないのか!?化物め!!ならば直接攻撃するのみ、全員かかれ!!」
飛び道具は止めて近接に切り替えるらしい、まあ判断としては悪くないね。
んじゃこちらはお返ししとこうか。
その辺に落ちてる矢を数本拾って突っ込んで来る兵の集団に投げつける。
何本かが兵の数人を貫いて後方の連中にも突き刺さる、うお、予想外の威力。
私の膂力もしや凄いのか?パワフルパワフル。
人種相手にしてこなかったからその辺今一分かんないんだよね。
「こいつ、落ちてる矢を投げてきただだと!?……ええい、怯むな、数で押し込め!!」
まだ引く気はないみたいだけど、さてそろそろかな。
「む、無理だ……こんな化物……う、うわぁぁぁぁぁ来るな、来るなあぁぁぁぁぁ!!」
1人の兵士が突如叫び始める、するとそれを火種に他の連中も次々に叫びだした。
「な、何だ、どうした貴様達!」
あ~やっと発症したみたい。精神状態で差でも出るのかな。
「い、嫌だぁぁぁ助けてくれぇぇ!」
「ひぃぃぃ!」
咲いた恐怖が次々に伝達していく、阿鼻叫喚、マトモに戦える兵はどんどん減っていき、逃走する者も出てきた。
「貴様達落ち着け!どうしたという……ひっ、何だこれは!……く、来るな、来るな……うあぁぁぁぁぁぁ!!」
どうやら隊長も発症したようで、叫んで逃げてった。
最早戦う意思のある者はおらず、そこにあるのは耐え難い恐怖のみ。
あっという間に全員逃走していった。
いやー恐怖便利だね、勝手に戦力削げるんだから。
さて、メアリー達の方はどうかな。
砦の方を見ると火炎弾が中から数発打ち上げられて爆ぜた。
どうやら向こうも終わったようだ。
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