触34・触手さんエルフと出会う

亀岩に辿り着き下から眺める、やっぱり岩通り越して山だよなぁ……

亀岩言うだけあって、まあ形は亀っぽいんだけど、ま~でっかいことでっかいこと。

高さどんだけあるんだろうね、都心の高層ビルより遥かに高いよな。


亀岩の下で軽く休憩を取ることにした私達は、メアリーが作ってきたサンドイッチをパクつきながらこの後の事を確認することにした。


【こっからモル大森林まで後どのくらい?】

サンドイッチ持ってない残った触手でホワイトボードに書く、手が沢山あるとこういうとき便利よね、飯食いつつ同時に字が書ける。


【そうですね、この亀岩が中継地点ですので後半分といったところでしょうか】


ふむ、ここまで1日半くらいだからもう1回戻ったらってとこかね。

1枚食いきってもう1枚頂く、この卵サンド美味いな、卵が濃厚。


全部食い終えて移動を開始。

周囲には何も無し、遠くでオエー鳥が時たま走ってるけどこっちに向かってくる気配も無い。


この日は何が起きるとも無くすんなりと歩を進められた、毎回これなら楽なんだけどねぇ。


次の日、神殿から草原に戻って歩いていると少し風景が変わった。

あちこちに切り株がある、木を切り倒したのかね、にしてはえっらい多いというか。

切りっぱなしにしてんのか?植林とかやってないんかね。


進めば進む程切り株が増えていく、相当な数伐採してるよなこれ。

かなり異様な光景というか、ここまで切り株ばかりだと何かおぞましさすら感じる、自然への冒涜というか何というか。


そんな切り株地帯を進んでいく、つかすっげー邪魔、何でこんな中途半端なことしてんのよこれ。


切り株の隙間を抜けたり越えたりしていると、前方にまだ切り倒されていない木々が見えてきた。

やっとモル大森林に着いたようだ、というかこの切り株ゾーンも元は森だったんだろうな。


木が生い茂っている場所に近づくと、何人かが斧や鋸で伐採をしている。

その内の1人が此方に気がつき……あ、逃げてった。

他の連中も叫び声を上げて散っていく、前にも見たなこんなん。


【人種達のようですね、どうやら恐慌状態になったようですが】


いや~ショックだわ~私そんな恐くないぞ~

つっても見た目の問題とかそういうレベルじゃないんだっけ。


ん~全員どっか行っちゃったな、まあいっか、進もう進もう。


行く手を阻むように生えている木々の合間を抜けて先に進んでいく。

鬱蒼とした森の中、葉と葉の隙間から木漏れ日は射しているが薄暗い。


時折小鳥が囀ずったり栗鼠か何かが枝と枝とを走り渡っていく。

陰鬱な感じはしない、むしろ神秘的。


どっかに泉があって手前に聖剣刺さってそう。

そんなことを考えながら歩いていると。


「イサダクテッマト」


何処からとなく声が聞こえる、ん~何て?

明らか日本語っぽいイントネーションだと思うが何て言ってんだ?


周囲をキョロキョロ見渡すと……木の上から人影が降ってきた。

人数は2人、どちらも緑色のマントで身を包みフードを目深に被っていて顔は良く分からない、身長からして人種だと思うんだが……逃げないな。


するとメアリーが私の前に出る。


【人種ではありませんね?貴方達はエルフでしょうか?】


メアリーが彼等にホワイトボードを見せる。


「……ハレワレワスデウソ、イレツシ……!?ントルケス」


2人がフードを脱いだ。

そこから現れたのは金色の綺麗な髪と尖った長い耳、そして見目麗しい顔立ち。

これはもしや。


「スデフルエ、ノモウマスニリモノコ」


取り敢えず通訳して下さいメアリーさん、何も言ってるかさっぱり分かりません。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る