触30・触手さん行先が決まる

今後の事か何だろう、メアリーは続ける。


【御子様の復活にあたりまして、各地に点在する人種以外の種族、エルフやドワーフ達等にそれを知らせて回りたいのです】


ほうほう?


【ゴブリン達の話によると、御子様が封印されて以降人種の増加と相まって、人種によるそれ以外の種族への迫害が増えており、特にここ数百年はかなり劣悪とのこと】

【ここに居るゴブリン達も居住地を追われ、この地に逃げてきたそうです】


何かこの世界の人類って随分と野蛮なんだな、他種族全部迫害って。

良くないなぁそういうのは。


【で、知らせると共に、可能であれば彼等を保護したく】


ふんふん成程ね、別にやることも特に無いし、外出てもフラフラしてるだけよりかは遥かにいいだろう。

もしかしたら元の世界に帰れるかもしれんし。


【それでいいよ】


ホワイトボードに書いて見せる、この世界の文字にも慣れてきて結構早く返答出来るようになったぞ、誉めてくれても良いぞ。


【ありがとうございます、それでは行先ですが説明させて頂きますので、一旦食堂に参りましょう】


食堂へ歩いて行くメアリーの後をついていく。

到着するとメアリーは食堂に入り紅茶を運んできた、席に座ってる私の前にあるテーブルにそれを置くと、次は大きな巻物を持ってきてテーブルに広げる、見ると色々絵が描いてある。


【では説明致します、この中央にある山が今我々が居るところです】


メアリーが地図の中央に書かれた岩山の絵を指差す、中央の岩山の周囲にも森とか海っぽいの、建物がある。


【東のモル大森林、西のルーデ海、南のウチャデ鉱脈、そして北の霊峰エシータスク山脈。点在している建物は人種の帝国領の街や拠点です、モル大森林のさらに東にあるのが帝国の本拠地となります】

【モル大森林にはエルフ、ウチャデ鉱脈はドワーフとオーク、ルーデ海はラミアやセイレーン等の水棲種、エシータスク山脈はドラゴン、それぞれが住んでいます。尚ゴブリンは特定の地域に住むといったことはせず、気に入った土地で暮らしているのが殆どです】


ほほーう、皆住んでる地域が違うのか~


【それで、まず最初はエルフの居るモル大森林へ向かおうかと思っています。人種から迫害を一番に受けているのがエルフでして、拐ったりして奴隷...特に性奴隷にされているようです。また近年では森の伐採が酷いらしく、積み家が無くなる事態も頻繁に起きているとのことです】


いやマジでロクでも無いんだけど人類、一度懲らしめておくか?


【後は順にウチャデ鉱脈、ルーデ海、エシータスク山脈へ進もうと思っておりますが如何でしょうか?】


ふむ、まあ見て回りたい順番もないしそれでいいか、問題無い旨を伝える。


【畏まりました、それでは結界が解けて直ぐに出立出来るよう準備をしておきます。それでは失礼します】


地図を畳んで一礼するとメアリーは食堂を出ていった、何か長い旅路になりそうだ~ねぇ~

さてっと、ちと昼寝でもしましょうかね~


やや冷えた紅茶を飲み干しカップを片付けて、私も食堂を後にし自室に戻って行った。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る