触27・触手さん更に色々知る
【恐怖が発症しないと判明したのはまだ10代中頃でした。当時ある貴族に雇われていたとき、屋敷のある街に御子様が近隣まで訪れたのです】
【そして街全体で恐怖が発動しました、皆が恐慌状態に陥り耐えられなくなった者達は次々に自ら命を断っていき...気がつけば私を残して全ての人種は全滅致しました】
うっわ、えっぐ...
【その後やって来た国の衛兵達に救助された私は、研究所に連れられて行き、色々検査を受けました。どうやら先祖にエルフが混じっており、それが隔世遺伝したのではないかとの結果が出ました】
【恐怖は人種にしか起こらず、エルフやドワーフ果てはゴブリンにオーク等、人種以外は発症しないのがその理由です】
は~成程ね、先祖返りってやつか。ってエルフにドワーフも居るのかこの世界、もう完全にファンタジーだな。
あれ?でも他の種族には効かないならそいつ等使えば良いんじゃ?
新たな疑問が生まれるが彼女は続ける。
【この頃人種達はある研究を進めていました、御子様を封印する方法です。私が救助された時には半ば完成していたようなのですが、重大な欠点がありました。それは人種にしか使えないのです】
【人種にしか使えないのに人種は恐怖を発症してしまう、これでは何の意味もありません。そこで私の発見です、これは人種にとって、とてつもなく朗報でした】
【人種でありながら恐怖を発症しない私は正にうってつけです。早速実験を行い、無事成功、人種は御子様を封印する術を得たのです】
ふむ、そういうことか、しっかし救助したての少女使って実験とか割とロクでもないことしてんな。
【その後御子様封印の為色々訓練を受け、実行に移りました。まずは御子様に攻撃を加え誘導、そして封印先である『邪神の揺り籠』ここは御子様が産み落とされた場所とされています】
【人種からは忌避されているのですが、他の種族からは聖地と崇められており、神殿等が作られていました。ここがその神殿ですね】
【邪神の揺り籠内部に入った私は御子様を誘導しながら上層に向かいました。道中御子様を信奉する者達に妨害を受けましたが、隔世遺伝のせいなのか元来魔法適正が高く、訓練も相まってなんとか神殿まで辿り着くことが出来ました】
【そして封印を実行したのですが...ああ、今でも腹立たしいですね...】
唐突に彼女が震えだす、何か怒ってらっしゃる?
【...失礼しました、話を続けさせて頂きます。その封印は代償を伴うものでした。それは使用者、並び周囲に居る者達の命を生贄にして発動するのです】
...はい?
【その範囲は広く、邪神の揺り籠を完全に覆い包む程、そしてその内部に居る全ての命を刈り取るのです】
まてまてまて、って~ことは...
【私はおろか生き残った信奉者や子供等の非戦闘員、果ては内部に生息するありとあらゆる魔物達まで、それ等の生命を根こそぎ奪い封印は発動しました】
...うっわ~...余りに酷すぎてドン引きだわ。
【動く物が消え去った邪神の揺り籠、しかし御子様は生きておられ、そして奇跡が起きました。私を含め信奉者達を御子様が甦らせたのです】
うぉぉお触手さんすっげー、やるじゃん触手さん!!
【只、御子様といえども完全にとはいかず、アンデッド、スケルトンとして甦りました】
あちゃ~、そう上手くはいかんか~
【アンデッドとはいえ甦らせてくれたこと、並び、私はおろか他の多数の者達をも巻き込んで捨て駒にしたことへの人種達への怨嗟もあり、私は御子様へ忠誠を誓いました】
【それから、私や甦った他の者達と一緒に外へ出ようとしましたが、御子様に甦らせて頂いたせいなのか封印の外に出ることが出来ず、また、私達は御子様から供給される魔力にて活動を行えるのですが、御子様のお食事も供給を絶たれた影響により徐々に動けなくなっていきました】
【封印による結界は御子様やその眷属は通れないのですが他の者は可能なようで、時折迷いこんでくる魔物や獣を狩っていましたがそれも微々たるもの、最終的に御子様が活動を停止し眠りにつかれ、残った魔力で何とか動けて居たものの、その魔力も数年後には底を尽き、私も意識が無くなり...そして今に至るのです】
ふむふむ成程ね、で私が触手さんになったせいなのか骨メイドも復活した、と。
まあ何で私がこうなったのかは分からず仕舞いだが。
さて、状況は理解したが問題は残ったままだ。
外に出る方法。
どうやらあの結界は触手さんとその眷属は遮断しても、それ以外は通れるぽいんだけども。
でもあれがある限り外には出られないんだよね、さてどうしたものやら?
【以上がこれまでの御子様と私の経緯となります。さて、この長い年月の間にここも色々な者達が住み着いたようでして、ゴブリン属も見受けられました】
ん?あ~確かに居るねゴブリン。
【これは実に吉兆でした。彼等は特に御子様への信奉が強く、説明したら喜んで引き受けてくれました】
ん?どういうことだ?
【この封印、実は発動させる場所と封印を展開する場所が違いまして、展開する為の封印石は別の場所、封印結界の外にあります、これは内部より封印を解かれるのを防ぐ為です】
【で、それを破壊するように依頼をしておきました。埋めてあるのですが動かされてたりしない限りは直ぐに見つかるでしょう、私が埋めたので何処かも分かっていますし】
つ、つまりそれは...
【外に出られますよ、御子様】
いぃぃやっふうぅぅぅ!!!
それを聞いて思わず私は小躍りしたのだった、外に出られるぞー!!!
外に出られるんだ、こんなに嬉しいことは無い。
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