触13・触手さん突撃される

あ~も~外に出られる思ったら何あれ~


触手ブンブン振り回しながら文句垂れつつ(ごぼぼぼぼ、とかしか発声できんが)拠点に戻っている真っ最中。

他に出口あるならいいんだけど、あそこしか無いならあれどうにかしなくちゃいけないんだよなぁ~、

でもどうやって?物理でどうにかなりそうでもないっぽいし...う~む...


まあ考えても答えは見つからん、洞窟探索続けてれば何かあるでしょ、そうだそうに違いない。

ポジティブに考えを切り替えて進んでいく、そろそろ拠点かな~


坂を降りきって暫く経ったのでもう着くはず...お、見えてきた見えて....んん~?

我が家の壁の前に何か居る、何だろうねあれ。


近づいて行くと、それは猪みたいだった。

いや、これ猪なのかね?壁くらいの高さあるんだけども、2Mはあんのよ?でかすぎじゃない?

ご立派な2本の牙が生えたそいつは、地面を右後ろ脚でザッザと擦り蹴ると...こともあろうに壁に突撃した。


ドゴォ!!と盛大な音を立て壁と衝突する猪。

おぉぉぉおいぃぃぃぃ!!!??お前何してくれちゃってる訳えぇぇぇぇぇ!!!??

凄い勢いで突っ込んで行ったが猪は何ともないようで首をブルブル振っている、

壁は...良かった壊れてない。


いやこいつ何なん?人んちの壁に突撃するとか、ヨネ○ケだって隣の晩御飯には突撃するけど壁には突撃しないぞ?


様子を見ていると、再度脚を蹴り出す。

また突っ込む気か、頑丈とはいえ何度も激突されたら壊れかねない、止めないと。


この距離なら届くだろう、数本の触手を伸ばしてぶん殴る。少しよろけたが何ともないようで、こちらに顔を向けた。

頑丈だなぁ、あの勢いで壁ぶつかっても平気ぽいしまあ当然か。

何度か殴るも効果があるようには見えない、脂肪分厚いのかね?


殴られ続け怒ったのか、ブルルルとうなり声を上げ頭を低くすると、突進してきた。

その速度は凄まじく、あっという間に距離を詰め...私を吹き飛ばした。


おわぁぁぁぁ!!?


ごぼぼぼ叫びながら吹っ飛ばされた私は地面に叩きつけられ地面を転がる。

いちちちち...くっそ~こっち突っ込んできやがった...

触手で身体を起こし猪を見ると、先ほどの体勢を取っている。


げ、やばい!!


再び突進され宙を舞う。

おっ~と触手さん吹っ飛ばされた~!!!


ぐぇ


またもや地面に叩きつけられ呻く。

後ろで聞こえる地面を蹴る音、ヤバいまだ突っ込んでくるのか、何とかしないと...


しかし愚鈍な私はあの突進を避ける術がない、どうする、考えろ考えろ...

周囲を見渡す、何か、何かないか...?


と、天井から垂れ下がっている鍾乳石が目に入る、これだ!!

私は触手を数本伸ばして、その鍾乳石を掴む、そして触手を縮めて身体を精一杯引っ張り上げる。

うおぉぉぉぉ!!!


間一髪、空中に逃れた私の下を猪が通り過ぎ壁に激突する。

さてここからどうしよう、このまま諦めて帰ってくれればいいけど、んな訳いかんよなぁ。


ぷらんぷらんぶら下がって眼下を見ると、猪のそばに地面から生える尖った鍾乳石があった。

鍾乳石、君に決めた!!


べちゃっと地面に着地し、後ろ向いてる猪を触手で絡め取ると上に持ち上げる、

暴れまくるがギチギチに締め上げてるので簡単はほどけまい!!


そして持ち上げた猪を鍾乳石の真上に持っていき...降り下ろす!!!


食らえ!!必殺パイルバンカー!!!


勢いよく降り下ろされた猪の下腹部を鍾乳石がズブリと突き刺さり、みちみちと音を立て背中まで大きく貫通する。

ピギゥィッィィと甲高い鳴き声を上げ暴れまくるが、鍾乳石は抜けやしない。

暫くジタバタと暴れていたがやがて痙攣し始め、やがて二度と動かなくなった。


...勝ったどおぉぉぉぉ!!!


いや~猪は強敵でしたね。

猪離してガッツポーズを上げる、しかし洞窟の中に猪ねぇ?普通森の中とかじゃないの?

まあいいか、洞窟の中入ってきただけかもしれんし、もしそうならあそこ以外にも出口があるってことだ。


さて、これどうしようか、このままにしとくのもなぁ、

てかどうするかなんて決まってんだけどね。


食べる。


猪ですよ美味いに決まってんでしょ、牡丹肉よ牡丹肉。

高級品ですよ、実際いいお値段するのよね猪肉。


牡丹鍋といきたいとこだけど材料ないし焼くしかないんだけど。

そんじゃまあ解体ショーといきますか、いや~こんだけでかいと処理大変そうだな、

猪の解体なんてしたことないけど、まあやってみよう。


その前に解体用の包丁作らないとなぁ、乙女汁で作れるかね?

いそいそと私は解体の準備を始めるのだった。


猪、ご期待下さい。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る