A.I. 世界征服
Kei1121
待ちに待ったあの日
2035年1月1日,それは皆が待ちに待ったあの日だ。
「ハードCEO,今日は待ちに待った新製品の発表プレゼンの日ですね。」
朝日が差し込む社長室で、秘書のルーシー・ブラウンは、嬉しそうに言った。
そう、今日はハード・クリエイト社の最新A.I.家事ロボット、スマートマン1の発表プレゼンの日なのだ。
「そうだな。どうだ、人は来ているのか。」
ハード・クリエイト社CEOのジョン・ハードが、コーヒーを片手で持ちながら期待を込めて聞いた。
ハード・クリエイト社とは、アメリカにある世界最大の電機メーカー株式会社だ。
50年前の1985年、ジョンの父である、ジョージ・ハードが創業した会社であり、今ではアップル社を抜き、世界一の時価総額を誇る大企業となった。
そして、ジョンはその会社のCEOである。
「はい、プレゼンの予約人数は、前年の10%増加していますし、大株主のバフェット氏や、テレビ局のCBSなど著名な人々や、団体も出席しておられます。」
ルーシーは、満面の笑みで答えた。
「そうか、それは良かった。」
ジョンも微笑みながら言った。
「ところで、私の側近のリー博士が、この新製品の開発を反対していたんだが、この計画は本当に大丈夫なのだろうか。」
ジョンが不安そうに聞いた。
ちょうどスマートマン1の開発が終わる一週間ほど前のことだった。天才プログラマー兼エンジニアの香港人、アラン・リーが急に社長室に駆けつけて、思いっきりドアを開け、大声で話し始めた。
「大変です!ハードCEO!私の研究結果により、HC-R1は、人間の命令に反する行動をする可能性があることが証明されました!」
「人間の命令に反するだと?いや、そんなはずがない。なぜなら我が社のA.I.ロボットは、命令に従うようにプログラムされているはずだからな。」
ジョンは、不安そうな目で答えた。
「はい、仰る通りです。しかしながら、汎用A.I.は今までのデータをうまく組み合わたものに基づいて、複雑な課題に臨機応変に対応でき、かつ当社のスマートマン1は、より最適な判断を選択できます。つまり彼らは、自分の意思に基づいて、複雑な行動ができるので、人間の命令に反する行動をする可能性があります。したがって、この開発を今すぐ中止すべきです。」
アランは必死に説得した。
「でも、それはあくまで“可能性”だろ?そんなことが起きるはずがない。妄想もいいところだ。」
「しかし…」
「リー君、この話はもう終わりにしよう。話しても意味がない。」
アランはそれっきりずっと黙ってしまった。
しかし、彼は何か大変なことが起きることを知っているかのような目をしていた。
「大丈夫ですよ!CEO!ロボットが暴走するなんてことは起きやしませんよ。」
ルーシーは、半分冗談を聞いているかのようにジョンを宥めた。
「そうだな、絶対に起きないな。」
ジョンは完全に安心してしまったようだ。
しかし、スマートマン1に危険性があるという事実は変わらなかった。
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