環境準備

時間は進み、俺は20歳になった。

男性は学校に行く必要がないと分かり、前世の知識が活かせない歴史だけ自宅で勉強すれば十分だと考え、今では立派な引きこもり。

部屋の外は敵でござる!

それでも流石に健康に悪いからと、庭で体操したり、室内で出来るトレーニング器具を使って健康維持には努めているつもりだ。

健康であることの大切さは前世で学んでいる。

なら引きこもるなとも言われるだろうが、それは出来ない。

一度母親同伴で、外に散歩したことがあるのだが、すれ違う人全員がこちらを見てくるのだ。

確かに、チヤホヤされたいし注目されたいが、物事には限度というものがあるだろ。

全身を舐めつけるように見てくるあの目が軽くトラウマになった俺は、一生実家暮らしを心に誓った。

ならアイドルになる方法は限られてくる。

バーチャルアイドル◯ーチューバー

自分の個人情報をほとんど出さず、顔さえ隠せるそれは、俺の求めるそれだった。

幸い家の防音機能は充実しており、必要な物は機材だけだ。


「ねえ、母さんってパソコンとか詳しい?」


リビングでテレビを見てくつろいでいる母親に尋ねるとサムズアップとドヤ顔を返してきた。


「パソコン関係には寧ろ、自信しかないが?」


やだ、この人カッコいい!

男性は精子バンクに寄付するとお金が貰える為、精通してからの貯金はある。

なら、最後にやるべきことは…親の公認だな。


「母さん…ちょっと話しがあるんだ」


母親の説得には、それから4時間がかかった。





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