3歳になりました

前世では嗜みのあった逆転世界の物語。

美醜や男女、貞操が逆になることで生まれる新世界感に俺だって大好きだった。

ただね?それはフィクションであるから良いのであって、リアルになると嫌というか困る。

小説みたいにハーレムだヤッター!とは俺はなれない。

前世マジで普通の一般市民な俺にそんな度胸も甲斐性もない。

それともその内に慣れるものなのか?

それはそれで嫌だなぁ…我が儘で贅沢なことだろうけど。


「おかーさん、せんたくもの、たたんだよー」


「もう終わったの!?凄ーい!ウチの葵ちゃん可愛くてお利口で天才過ぎなんだけどー!!」


そう言って揉みくちゃにしながらキスの雨を降らせる母親。

一人っ子で一人息子な俺を溺愛しており、仕事は在宅ワークらしく、基本的に一緒に家いる。

どんな仕事をしているのかと尋ねてみたが、世界の平和を守るお仕事だと誤魔化された。

まぁ、いつかわかるだろうから別にいいんだけどさ…あれ、何の話しをしてたっけ?

とにかくこの世界で、前世成し得なかった結婚は恐らくは難しくない。ベリーイージーだろう。

そうなると別の心残りはと、俺はテレビに目を向ける。

そこにはキラキラな衣装、眩しい笑顔を振り撒く芸能人、アイドルの姿が映っていた。

彼女達が手を振ると観客席の女性たちのボルテージが上がる。彼女達の一挙手一投足で観客の心が動かされる。そこには俺が前世で諦めたものが映し出されていた。


「…これだ」


俺は有名に、アイドルになる!

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