夜の縁に立つ者たち
砂庭 ねる
#00 プロローグ
ミーン、ミーン、ミーン、ミーン。
高い
「ほれ、邪魔んなるから机の方に行こうぜ」
僕は時折を引っ張って行った。もうヤツは本の方に没頭して、されるがままになっていた。
「新しい本じゃんか」
「そう。俺が購入希望出して買ってもらった」
「なんて本?」
時折は僕に見えるように表紙を立て、もう読む方に戻っていた。
『縁界図録:秘匿された叡智の記録』
何のことだかわからないが、時折がこれだけはまり込んでいるのは、見ていて面白かった。
新しい本の印刷の匂いがふっと漂った。にしても、表装は古びた魔導書っぽくデザインしてある。時折のような神秘学オタクを喜ばせるためだろう。何かの紋章が刻印してあり、高価なそうだ。時折が自分では買えそうにはない。
・・・・・・ん? この紋章、確か・・・・・・。
僕は型押ししてある、円く囲まれた部分をじっと見た。それは、鳥を
なぁ、その本さ、と時折に聞こうと思った時、多田くーん、ちょっと手伝ってくれる? と司書の先生に声を掛けられた。はーい、今行きます、と図書委員でもある僕は今日はカウンターの担当だったことを思い出し、急いでそっちへ回ったので、その魔導書の件はそれっきりになった。
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