第7話 狩猟者(ハンター)
男性は慌てたように身を乗り出すと、手にした相棒を乱射する。
乱射してはいるがその精度はかなり高く、的確に
ガキンガキンと音を立てて弾かれる弾丸に、軽く舌打ちをする男性。
「くそ!!かってぇっつうの!!」
悪態をつきながらも、次々とマガジンとカートリッジを交換しながら
それにより
「やっと釣れやがったか!!」
男性は
そして左腕の装置へ相棒をしまうと同時に、ライフル銃【形式名称:DFR229】を取り出す。
腰だめに構えたかと思うや否や、射出される弾丸。
先程までと打って変わって弾丸は弾かれる事は無く、
数発放たれた弾丸は、全て
「こいつで終わりだ!!」
関節を壊され動きの鈍った
そして放たれた弾丸は、
徐々にその活動を止める
そして完全停止を確認すると、その警戒を解いたのだった。
「なんでまた、こんなところにガキが居んだよ……」
男性は、少し離れた場所でこちらを見つめる少年に声をかける。
少年は何があったのか分からず、ただただ震えていた。
よく見れば、全身あざだらけで泥まみれ。
明らかに訳アリに見えた。
「おい!!なんか言ったらどうだ!?」
男性は徐々に苛立ちを顕わにしていく。
男性の剣幕に恐れを覚えたのか、少年はさらに体を縮こまらせていく。
苛立ちの限界に達してようで、男性は深い溜め息をついて煙草を手にする。
シュボッっと言う音と共に、匂い立つ煙草の薫り。
その煙を少年は、じっと見つめていた。
男性は、冗談のつもりで煙草を少年にそっと差し出した。
少年は恐る恐るといった様子で煙草を受け取り、口に咥えると一気に吸い込んだ。
「がはっ!!ゴホッゴホッ!!」
少年は盛大に咳き込み、上手く呼吸が出来ずにいた。
男性はさすがにやり過ぎたと反省したようで、少年の背中をそっとさすってやっていた。
「あぁ~なんだか、その……わりいな……」
男性はそう言いながら、ばつの悪そうな顔を浮かべていたのだった。
——————
リヒテルが森を逃げ惑っていると、突如として銃声が響き渡った。
それは
「助かった……のかな……」
安堵と同時に不安が沸き上がる。
本当に味方かわからないからだ。
リヒテルの前で繰り広げられる、激しい銃撃戦。
さっきまでリヒテルを目の敵のように追いかけまわしていた
「たす……かった……」
リヒテルはその場にへたり込んでしまった。
足場の悪い森の中を、無我夢中で走り回っていたのだ。
まだ7歳になったばかりのリヒテルにとって、それは過酷以外に表現のしようがなかった。
荒れた息を整えながら、銃声がする方へと視線を向ける。
そこには、リヒテルが憧れて止まなかった戦いが繰り広げられていた。
男性
リヒテルは息をするのも忘れるほど、その戦いに見惚れていた。
自分が今まで逃げ回っていた
と、同時にその力が自分に向けられるのではないかという恐怖も感じていた。
そしてとうとう数発の銃声の後、その戦いに終止符が打たれた。
徐々に動きが緩慢になり、動きを止める
その戦っていた男性
「なんでまたこんなところにガキが居んだよ……」
こちらに歩いてきた男性
リヒテルはその態度に警戒心を顕わにし、怯える体に鞭を打ち立ち上がる。
言葉を発しようとしてもリヒテルの喉から声が出ることは無かった。
その態度に男性
リヒテルに去来する思いは〝憧れ〟と〝恐れ〟ただそれだけだった。
そしてリヒテルは決意をする。
自分の人生を決める為の大きな決断を……
「お、おじさん!!僕を……僕を弟子にしてください!!」
リヒテルは、自身の思いの丈をその言葉に託し叫んだ。
それを聞いた男性
自分の言葉が伝わらなかったのかと思い、リヒテルはさらに言葉を重ねる。
「おじさん、
「お、おじ、おじさ、おじさん……」
男性
ついに我慢が出来なくなったのか、男性
「俺はおじさんじゃねぇ~っての!!それにだ、坊主は何歳だ?」
「僕は……7歳……」
さらに男性
気分を落ち着かせる為に煙草に手を伸ばし、プカリと一服をしていた。
何度か煙草を吸いながら気分を落ち着かせた男性
「あのな坊主。確かに、7歳過ぎりゃ弟子になる資格を得る事が出来る。ただし、それは
リヒテルは反論する事が出来なかった。
男性
だからこその懇願であった。
しかし、それも男性
それでも諦め切れないリヒテルは男性
「ダメだったらダメだ。ほら、ゲートまで送ってやる。ついてこい。」
男性
しかし何かおかしかったのか、何度も首をひねっていた。
そして何か腑に落ちたのか、リヒテルの方へ向き直りマジマジとその顔を見ていた。
「あぁ~、なるほどな。そう言う事だったか。やっと理解できたぞ。坊主……諦めなければ叶う夢もある。坊主は坊主で今やれる事をやるんだ。それが坊主のこれからの人生を大きく変えていくからな。じゃあ行くぞ。」
男性
リヒテルは納得いかない顔でその後を追っていく。
何とも奇妙な光景がそこにあったのだ。
先行く男性
それからしばらくすると、行く手に高い壁が見えてくる。
ADWを覆う外壁だ。
そしてその中に大きな鉄の門が姿を現した。
「おい守衛!!どうなってる!!なんでガキがこんなところにいやがんだよ!!」
「そんなはず……は……。なんだって!?」
男性
ゲートで見張りをしていた男性は、男性
自分が見ている段階で子供は入り込んでいなかったはずだからだ。
それなのに男性
「それとな、こっから壁沿いに3kmくらい行った所の外壁に穴が開いてるぞ。ちゃんと補修しとけ。」
「本当ですか!?おい誰か、今の聞いてたな?早速調査してきてくれ!!」
守衛の男性が待機室で寛いでいた別の守衛に声をかけ、現地に向かわせた。
「じゃあ、このガキを頼むぞ。それじゃあな坊主。絶対に無理だけはすんじゃねぇ~ぞ。この業界は自分を大事に出来ねぇ~奴は早死にしちまう。いいな?」
「はい……」
リヒテルは守衛の男性に手を引かれ、門の外へと連れ出されていった。
その間にも何度も何度も後ろを振り返り、男性
「頑張れよリヒテル・蒔苗!!」
最後に聞こえた言葉にリヒテルは驚いた。
どうして自分の名前を知っているのかと。
一度も名のったことなど無かったのに……
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