#2 変革の勇者騒ぎ
──(タイトルコールと音楽が流れた)
──……リスナーの諸君、おはよう。王都随一のジャーナリスト、トリプル・J・シモンズだ。
番組を始める前に一言。良いかね、この番組は私のような熱心な愛国精神を持つ真のメリカ王国民に向けて放送しているつもりだったのだが、私の非常に丁寧な解説も虚しく未だにここへクレームの連絡を入れてくる不届き者共、お前らは恥を知れ! 日々なんの成果も出さず親のスネを齧りながら地下室でムラムラしているだけのお子様は生意気にラジオなんか聞くんじゃない! お前らこそ軍に入りその腑抜けた小根を叩き直してこーい!
……失礼、少々熱くなってしまったようだ。くれぐれも私に対しての誹謗中傷は辞めたまえ、法廷で顔を合わせることになるからな。
さてと本題なのだが、私が散々忠告しているにも関わらず巷ではまだ変革の勇者ロランとかいう青二歳を持ち上げている輩がいる。あんなのはツラが良いだけの役者みたいなもんだ。半年前、王が変革者を募集したらどうなったかもう忘れたのか? 国中から我こそは変革者という詐欺師まがいなゴロツキ共が集まって大変な騒ぎになったばかりだろうが! それらを取り締まって捌ききり、国民を守り、厳正な審査にかけたのは誰だ? そうとも王国騎士軍だ。正規の精鋭部隊にして国への忠誠を誓った真の愛国者たちだ。王は一刻も早く目を覚まし、彼らをもっと労うべきだと私は考えている。ロランなんて腕っぷしが強いだけのただの人気取りだろう。
それに比べてどうだ、第二王女のシャーリ様こそ真の騎士、ひいては勇者の称号に相応しい。王族のお産まれでありながら自ら騎士に志願して弛まぬ努力の結果、実力で部隊長を任されるまでになられたのだからな!
王宮務めの役人たちがもしこの番組を聞いていて当然だが深い感銘を受けたなら、遠慮なくオファーしてほしい。私は逃げも隠れもしない。いつでも相談役として王宮に入るぞ。
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