シモンズ・ラジオ・ショー

──（タイトルコールと音楽が流れた）

──……リスナーの諸君、おはよう。王都随一のジャーナリスト、トリプル・Ｊ・シモンズだ。

　さっそくだが今、国中を騒がせている「変革者認定試験」について、私見ではあるが私は全くもってくだらないお遊戯会だと思っている。先月、王都で引き起こされたガノン帝国による凄惨な爆発テロからようやく立ち直り、我らが国は再び立ち上がった。メリカ王率いる王国騎士軍はついに出兵し世界の平和と秩序を守るため、帝国打倒を掲げたわけだ！

　ここまでは素晴らしい、古くから続く我らがメリカの底力を北方の田舎帝国に思い知らせてやるわけだ！

　しかーし！　納得いかないのがまさに、変革者とかいうおとぎ話の英雄を発掘するという三流バラエティを国家政策として行なっていることだ！　しかも選ばれたそいつを軍に加えるというじゃないか！　テロの被害者は善良なる国民数百人と他でもない王子殿下だぞ！　運良く一命は取り留めたそうだが未だ昏睡状態だ！　王は自分の息子を救うのに作者不明の古臭い冒険小説の実写化を行おうというのか、理解できん！

　──……なに？　王権批判？　不敬？　黙ってろ、政治について語る自由は国民誰にでもある、私のような熱心な愛国者には特にな！　分かったか！

　とにかく、現在の候補筆頭はロランとかいう田舎者の若造らしいじゃないか。頭空っぽの若者たちは同じ歳くらいの奴に英雄像を重ねるだろうが目を覚ませ！　国を守るのは騎士、ひいては兵士だ！　真の愛国者ならば、出兵して戦ってこい！

　──……私？　私は戦場には行かん。生きてこの戦争を見届け、そして愛国者たちに真のジャーナリズムを伝える義務があるからだ。