あの夏に囚われている

第一話「忘却の廃校で幽霊は微笑む」

耳障りな音がどこからともなく響いてくる。眠りから覚めた少年はぼんやりとその音を聞き取った。蝉の声だ。夏の陽射しの中、木にへばり付き、狂ったように鳴き続ける蝉の声が、容赦なく空気を切り裂いていた。

短い生涯のほとんどを鳴き続けるだけの不思議な生き物。はたしてそんな命になんの価値があるのかと、まだぼんやりした頭で考える。

「……俺が言える立場じゃないけどな」

ベッドから降り、肩をすくめながらつぶやいた。少年にとって、ただ無為に日々を過ごすことに違和感はなかった。それが自分の望んだ人生なのかはわからないが、積極的に変えたいと思う気もなかった。

いつの間にか、高校一年生の夏休みも2週間ほどが過ぎていた。特に何かをしたいわけでもなく、毎日がただただ流れる。

彼は、背丈は平均的ながらも少し痩せた体つきで、頬はややこけた印象を与えている。まぶたが少し重たげで、気怠そうな目つきが日常の彼の姿を物語っていた。

彼は部活動として仕方なく写真部に所属している。写真が好きなわけでもないが、校則で部活動への所属が必須である以上、避けられない。ただ、部員数も少なく、誰かと協力して何かをするわけでもない。そんな写真部は彼にとっての最良の逃げ場だった。

だが、その選択の代償なのか、夏休みの課題として「夏」をテーマにした写真を撮る必要が生じた。漠然としたテーマを与えられても、いったい何を撮ればいいのか、見当もつかない。海や花火といった「夏らしい」イメージが何一つ自分には関係がないように思えたからだ。

仕方なく人の少ない場所を求めて歩き回り、やがて辿り着いたのが近所の高等学校の校舎だった。その高等学校は数年前に廃校となり、校舎だけが残されていた。不思議な静けさと、時間が止まったかのような寂寥感に包まれたその場所は、少年の心を微かに引きつけ、気づけば廃校ばかりを撮影するようになっていた。それが夏らしい写真かどうかはわからないが、今の少年にとっては唯一の被写体だ。

今日も、廃校へ足を運ぶつもりだ。クローゼットを開けて特段選ぶわけでもなく目についたシャツとジーンズを手に取り、寝間着から着替える。デスクに置かれた一眼レフカメラを手にとり、首にかけた。

階段を降り、洗面台に向かおうとしたところで母親と鉢合わせになり、声を掛けられる。

「あら、日陰（ひかげ）、おはよう。今日は出かけるの？」

少し驚いた顔をするのは、彼が珍しく寝間着を着替えているからだろう。首にかけた一眼レフカメラも、彼が出かける合図のようなものになっている。母親、佐藤（さとう）光（ひかり）。まるで自分とは正反対の名前だ。光から自分が生まれたのだから、皮肉めいた響きさえ感じる。

年齢相応に落ち着いた雰囲気を持っているが、その優しさが顔の表情に表れていた。

長い髪を一つにまとめて、エプロンを着用している。今日もその姿で、温かな笑顔を浮かべて日陰を見ていた。母性を感じさせる、安心感を与える存在だ。

「写真、そんなに楽しいの？」

どこか嬉しそうな母の問いかけに、日陰は少し照れくさそうに目を逸らし、ぶっきらぼうに答えた。

「別に……」

そのまま洗面台で支度を済ませ、玄関を出る。容赦ない酷暑が全身を包み、蝉の声が耳に響く。汗ばむ首筋を気にしながらも、廃校までの道を進んでいく。

いつもの坂道を歩き、目指すのは廃校の校門だ。春には桜が咲き誇る並木も、今は夏の陽に照らされ、青々とした葉が繁るばかり。緑のトンネルが夏の訪れをこれでもかと主張しているようだった。

歩みを続けるうちに、日陰の心は静寂に包まれていく。少しずつ、その場所へと引き寄せられているような気がしていた。

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やがて、廃校の廃れた校舎が目に入った。かつての賑わいが跡形もなく消え去り、静まり返った空間が広がっている。長年の風雨にさらされた壁の塗装は剥がれ、窓は埃で曇っている。伸び放題になった雑草がかつての校庭を覆い尽くし、まるで時間がこの場所だけを置き去りにしているかのようだ。

日陰は校門をくぐり、正面に佇むその廃れた建物を見上げ、無言でカメラを構えた。止まった時計、ひび割れた窓ガラス、錆びついた鉄の柵──それらは時間が残した傷跡のように佇み、静かに過ぎ去った年月を物語っている。その中で、シャッターを切る音が虚空に響いた。その音がかすかな余韻を残して消えると、不意に背後から、柔らかな声が聞こえてきた。

「ねぇ、私を撮ってよ」

そのたった一言が、夢のような静寂を破り、日陰を現実へと引き戻した。慌てて振り返ると、そこには見知らぬ少女が立っていた。

少女は長い黒髪を肩にさらりと流し、透き通るような白い肌をしている。視線が交わると、彼女は微笑みを浮かべた。その笑顔には、不思議な儚さと、この場所に似つかわしくないほどの明るさが漂っていた。陽の光が彼女を照らしているはずなのに、どこか幻想的な淡い輝きがその輪郭を彩っている。

彼女の雰囲気に気圧されつつも、日陰はその装いに目を留めた。黒いセーラー服に真紅のリボン──見慣れない制服に、思わず視線が釘付けになる。年は同じ高校生くらいに見えるが、どこか非現実的な気配が漂っていて、何とも言えない。

「……誰、ですか？」

日陰が問いかけると、彼女はいたずらっぽく笑みを浮かべた。

「えーっ、人に名前を聞くなら、まず自分から名乗らないと～」

初対面とは思えない屈託のない声に、日陰は戸惑いながらも名乗った。

「佐藤（さとう）……日陰（ひかげ）、です」

自分の名前であるはずなのに、どこかぎこちない響きが残る。その響きを反芻するように、彼女は楽しげに笑った。

「へぇ、佐藤日陰くんか。いい名前だね！ 私はね、藤井（ふじい）美晴（みはる）。『みっちゃん』って呼んで！」

無邪気な少女は自らを藤井美晴と名乗った。そして、日陰は内心でぼやいた。初対面で「みっちゃん」なんて呼べるわけがないだろう、と。

彼女の澄んだ瞳には、不思議な透明感があり、まるで現実の一歩先を漂っているかのような神秘的な印象を受ける。しかし、どこか温かさも感じられ、日陰は思わず視線をそらした。

「何歳？」

美晴が興味津々な瞳で聞いてくる。

「…15歳だけど…」

彼女の雰囲気に圧倒されながらぎこちなく答える日陰。

「そっかー！中学3年生？高校生？私は16歳！」

目を輝かせてオーバーに体を動かしながら声を発する美晴。

「……高校」

美晴の眩しすぎる笑顔に圧倒され、思わず目を逸らす。次いで気づくと、美晴の顔が間近に迫っている。ほとんど息がかかるくらいの距離だ。

「え、あ、あ、その……」

日陰は思わず口ごもった。まだ思春期真っ只中の彼には、この距離感がどうにも耐えがたい。慌てて距離を取ろうとすると、美晴はいたずらっぽく笑い、日陰の肩を指で軽く突っついた。

「何その反応～！」

からかうような美晴の声に、日陰は顔を赤らめ、反射的に声を荒らげる。

「お、おい！やめろって！」

彼の狼狽ぶりを見て、美晴はますます楽しそうに笑い出す。困惑しながら汗を浮かべる日陰を見て、美晴は一瞬だけ反省したような表情を浮かべ、軽く謝った。

「ごめんごめん。で、こんなところで何してるの？」

美晴は首を傾げ、興味津々といった様子で日陰を見つめた。

日陰は、心の中で「こっちのセリフなんだが……」とぼやきながらも、怪訝そうな表情で答えた。

「……写真を撮りに。課題だから」

「ふーん、課題ってことは写真部とか？写真、好きなんだ？」

「あぁ。まぁ……写真部だよ。でも、別に好きなわけじゃない……」

「そっか、でもいいなぁ、好きな時に好きなことができて」

美晴の声には、どこか羨ましげな響きが微かに混じっている気がした。日陰は「だから好きじゃないって」と言い返そうとしたが、なぜか言葉が喉に詰まる。咄嗟にそのわずかな感情の翳りを感じ取ったのかもしれない。

「美晴さんは、なんでこんなところにいるんだ？」

自信なさげに「美晴さん」と呼びかけてみる。いきなり「みっちゃん」と呼ぶのはさすがにためらわれ、無意識に少し距離を取るように「さん」をつけた。すると、美晴はその呼び方が面白いとでも言うように目を細め、いたずらっぽく微笑んだ。

「それはね……ヒミツ。ミステリアスな感じが魅力的でしょ？」

あっけらかんとした返答に、日陰は自然と引き込まれていくのを感じた。ひとつひとつの言葉の端々に無邪気さと好奇心がにじみ、美晴の不思議な親しみやすさが、どこか心地よくすらあった。

「ねえ、ここって昔、どんな学校だったか知ってる？」

「さあ、普通の学校だったんじゃないのか？」

「そうかもね。でも、ここに来ると不思議と落ち着くんだ。君も、そう思わない？」

その言葉に、日陰ははっとした。自分でも、なぜかこの場所に惹かれていることを自覚し始めていた。いつもなら他人とこんな話をすることさえ煩わしいはずなのに、今だけはこの廃校の雰囲気と美晴の存在が、そうした感覚を不思議と消し去っている気がした。

彼はふと、彼女の横顔を見つめた。薄い日差しが美晴の頬に柔らかく差し込み、その存在がまるで儚い影絵のように浮かび上がっていた。こうして美晴と話していること自体、現実味を帯びていないようにすら思えた。

「なぁ、本当にここで何をしてるんだ？」

日陰は問いを返した。自分が感じている違和感を言葉にすることで、少しでも彼女との距離を測ろうとしたのだ。

美晴はふと視線を遠くに向け、口元に微笑みを浮かべた。まるで言葉を選んでいるようなその仕草が、どこか思わせぶりだった。

「うーん、そうだね……君に会いたかったから。って言ったら信じてくれる？」

その言葉を聞いた瞬間、日陰は思わず息を呑んだ。初対面の少女が口にするには、あまりに大胆な言葉。しかし彼女の瞳には、冗談か本気かを見分けられないような無垢な光が宿っていた。

「……なんで、俺なんだよ」

日陰は自然と呟くように問い返した。どこか愚かな問いだと自覚していたが、彼女は気にする素振りも見せず、微笑んで答えた。

「うーん、じゃあ君がここに来たから、って感じかな。私のこと見つけてくれたの、君が初めてだし」

「それって……どういう……」

彼女の言葉により謎は深まるばかりだが、日陰はその言葉の裏にある何かを掴もうと、彼女をじっと見つめ続けた。

ふと、美晴が顔を近づけながら、少しお姉さんぶった口調で言った。

「ねぇ、日陰。君って、写真部だよね？それなら、もっといろんな写真を撮らなきゃダメだよ」

まるで年上の先輩が後輩を叱るような調子で、軽く指を振る仕草を見せながら。その声には、励ますような響きが隠れている気がした。

いきなり、呼び捨てか…。

「……撮りたいものなんて、特にないんだけど」

自分でも気づかないうちに口に出たその言葉。完全に美晴に会話のテンポを持っていかれている。ただ、どこか心地よさも感じてしまい、流れに身を任せるように彼女の言葉を待つ。

美晴は少しの間だけ静かに日陰を見つめた後、いたずらっぽく微笑む。

「そっか。でもね、もし撮りたいものが見つからないなら、私を撮ってみない？」

彼女はにっこりと笑って続けた。

「ねえ、私を撮ってよ」

その言葉に、日陰は心が静かに揺れ動くのを感じた。美晴の姿を通して、自分の中で眠っていた何かが、ゆっくりと目を覚まし始めているような気がしてならなかった。彼女の瞳に宿る純粋な期待が、熱を帯びて日陰に伝わってくるようだ。

「……撮っても、いいのか？」

その問いに美晴は大きく頷き、微笑みを浮かべていた。日陰はカメラを持つ手に少しだけ力を込め、ファインダーを覗いた。しかし、レンズ越しに美晴の姿を捉えようとすると、胸の奥に違和感が広がっていくのを感じた。彼女の存在はまるで陽炎のようで、シャッターを切った瞬間に消えてしまいそうなそんな儚さがあった。

「……いや、やっぱりやめておこう」

日陰はため息をつき、カメラを下ろした。美晴は不思議そうに小首を傾げたが、特に問い詰めることもない。その自然体の姿が、どこか日陰を安心させると同時に、フィルムに焼かれた美晴の笑顔を想像させた。

「なにそれ、変なの！」

美晴はくすっと笑い、軽く肩をすくめてみせる。その無邪気な仕草に、日陰は思わず見惚れてしまっていた。いたずらっぽく笑う彼女の声音は、まるで楽器のように心地よく響いている。

「はーーー、まぁいいや！」と楽しげに微笑むと、彼女は校舎の方へと視線を移した。

「それより、日陰はこの学校が好きなの？」

と問いかけてくる。日陰は一瞬戸惑いながらも、古びた校舎に視線を向けた。

「好きってわけじゃないけど……なんか、落ち着く感じがするんだよな」

自分の言葉に意外さを感じながらも、その感覚を彼女に打ち明けた。目の前に佇む校舎が、やけに静かな安らぎを纏っているように思えたのだ。

「あーー、わかるよ！」

美晴は満足げに頷き、遠くに視線を漂わせた。

「落ち着くよね、ここ……どこか、特別な感じがするっていうか」

そのひと言に、日陰はかすかに眉を動かした。彼女の声にはほんのりと温かみが宿っていて、この校舎が美晴にとっても何か意味のある場所のように感じられる。その言葉の裏に潜む何かが、日陰の心に静かな波紋を広げていった。

「そうだな……ただの廃校じゃない気がする」

日陰の口からふと漏れた言葉に、美晴は嬉しそうに微笑んだ。会話の中で、日陰の心が自ら気づかぬうちにほぐれていくのが感じられた。

「この学校、何か隠された物語が眠っている気がするんだ」

と美晴が静かに囁くように言う。その声に、日陰は胸の奥でかすかなざわめきを覚えた。彼女の言葉には、単なる思いつき以上の何かが込められている気がしてならない。

「物語……か。」

日陰はぼんやりと呟きながら、美晴の視線の先にある校舎を見つめた。彼女と過ごすこの瞬間が、何か特別な物語の始まりのように感じられた。

「日陰も、この学校のこと、もっと知りたいと思う？」

美晴がふと問いかける。その声に込められた優しさが、日陰の心の奥をそっと撫でるようだった。日陰は答えを探しながらも、ただ黙って小さく頷いた。それを見て、美晴は目を細めて微笑んだ。

「例えば、誰かがここで過ごすはずだった青春の思い出とかね」

美晴は目を輝かせながら続ける。

「日陰のカメラで、その思い出を切り取るのも面白そうじゃない？」

その言葉が、日陰の心をそっと撫でた。美晴の言動が何を意味しているのか、日陰にははっきりとは掴めなかったが、カメラが持つ役割についてもう一度考えさせられる。

「カメラって、何か特別なものを切り取るための道具でしょ？」

美晴の問いかけに、日陰は心の奥に染み渡るような感覚を覚えた。彼女の言葉は、見えない波のように静かに入り込み、日陰の心を軽く揺さぶる。美晴の何気ない視線が、この瞬間何かを強く求めているように見えた。

美晴は目を細め、遠くを見つめながらさらに続ける。

「いろんなものを撮らないともったいない気がするな〜」

「…そう、かな？」

ようやく口を開いた日陰は、美晴の真意を探ろうとしながら、心の奥底に抑えていた何かを引き出されるように呟いた。

「撮っていいのかな」

美晴は小さく微笑み、彼を見つめて頷く。

「もちろん！だって、日陰が写真を撮るのは、君自身の思い出を残すためなんじゃない？だから、自分が撮りたいと思うものはちゃんと撮らないと！」

日陰は、美晴の言葉を受けてしばらくの間、ぼんやりと考え込んでいた。シャッターを切ることへの戸惑い、思い出を残す意味──普段はあまり考えないことが、自分の心に押し寄せてくるような感覚があった。しかし、そんな気持ちを美晴に伝えるには、どう言葉を紡げばいいかもわからない。

その沈黙を破るように、美晴がふいに言った。

「ねぇ、日陰、中に入ってみたくない？」

言葉に促されて視線を向けると、目の前には校舎の正面入り口が見えていた。長い年月が刻まれ、埃が積もった下駄箱が奥に並んでいる。その場所だけが、校舎内も同じように時間が止まっているような錯覚を覚える。

「中に入るって……鍵、閉まってるだろ？」

日陰はため息をつきながら、冷静に指摘する。何度もここに通っているからこそわかることだが、入り口はいつも固く閉ざされていた。校舎の外観は撮影してきたが、内部には足を踏み入れたことがない。

「へへっーん！」

美晴は自慢げに微笑み、日陰の前で何かを企むように立ち止まった。そして、そのまま扉に向かって軽く息を吸い込み、すり抜けるようにして扉の向こう側に消えた。何の抵抗もなく、彼女が姿を消したその瞬間、日陰は驚愕して息を飲む。

「えっ、な、なんで……」

信じられない光景に言葉を失い、日陰はただ立ち尽くしてしまう。廃校に響く風の音だけが、静かに耳元でささやいていた。

しばらくすると、扉の向こう側から美晴が顔を見せ、にこにこしながら手を振る。

「鍵、開けるね！」

そう言うと、美晴は内側からドアの鍵を軽々と回し、扉を開けて日陰を招き入れるように立っていた。日陰は混乱したまま、美晴の表情を見つめ、無意識に彼女の背後に目を向けた。

「……影がない……」

ふと気づいたその事実に、日陰はさらに驚きと混乱が募る。美晴はどこかこの世のものとは思えないほど儚く、透き通るような存在感を漂わせていた。それが現実ではない理由を確信させるかのように、彼女の足元には影がなかったのだ。

日陰がぼんやりとした表情で立ち尽くしているのを見て、美晴は腕を差し出し、にこっと笑って言う。

「脈もないよ、触ってみて？」

言われるがままに、日陰は戸惑いながらも美晴の手首に軽く指を置く。しかし、そこに鼓動は感じられない。ただ、冷たいけれど柔らかい肌の感触が伝わるだけだった。やがて、美晴は楽しげに声を上げた。

「実はね、幽霊なんだー！」

可愛らしく冗談めかして告白する彼女に、日陰は改めて現実味のない不思議な気持ちを抱く。しかし、今にも消えてしまいそうな彼女の美しさや儚さに、妙に納得してしまう自分がいた。