第3話
「いきなりレディの部屋に入ってくるなんて失礼じゃありません?」
「声はかけたんだがな。どうやらお話に夢中のようだったので」
白々しい。どうせ声をかけても拒否られると思って勝手に入ってきたんでしょ。
王子は我が物顔で部屋の中に入ってきて、ソファに腰かける。
「で? どうしてそんなに嫌なんだ?」
「どうして? 逆に聞きたいわ。どうして私と結婚したいの?」
「一目見て惚れたから」
「馬っ鹿じゃない? 百歩譲って一目惚れはいいとしてもよ。なんでキスするのよ」
「それは……なんか引き寄せられて?」
「信じられない! 寝てる女の唇をいきなり奪ったのよ。許せるわけがないでしょ?」
「いや、それで目覚めたんだから、恩人だし、運命だろう?」
「……それで結婚しろとか言われるなら、あのままの方がマシよ」
そう。こいつは奪ったんだ。
「……ファーストキスだったのに」
「そんなこと言ってる場合だったか?」
「言ってる場合よ! ぜーっったいに許さないんだから!」
「なぜだ? ほかに相手がいたのか?」
……いた、とも言える。いなかった、とも。
だって、片想いだったから。
きっと彼は気づいていない。私の想いに。
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