貴方に恋した私とあの子は今日も攻め続ける
焼鳥
【短編】貴方に恋した私とあの子は今日も攻め続ける
「うぐぐぐぐ....」
「
「なぁ
「意味は勿論あります。誰かさんの牽制も兼ねてね。」
彼の膝を我が物としている彼女は私を見ながらクスクスと笑っている。
「やってくれるじゃないこの泥棒猫が!!!」
今日も私たちは彼を求めて争う。
*
「いつも弁当作ってもらってすまないな。」
「いいのよ。弁当なんて一つ作るのと二つ作るの、あまり時間は変わらないし。」
私、
「ならいいんだけどさ、いい加減飯代くらい受け取ってくれよ。貰ってばっかりは気が引けると言うか。」
「ならこれから先も一緒に食事して欲しいな。私がお弁当を作ってあげる限りね!」
「それでお前が納得するのなら構わないけど。」
このように、色んな手段を用いて私は彼を隣に引き留め、
何故そんなことをするのかと言うと、
そんな彼なので、片思い中の私からすれば大問題なのだ。
「あ〜と〜は、海は女子が触れてきたりとかしてきたら断るのよ。女子って案外狡猾なんだから。」
「そうか?
*
「
「
「
「まぁ気持ち良いのは分かる。」
教室に着くと、いつものように彼女が彼の席に座っていた。
「あら
「
「
「・・・分かったわ。」
彼女の名前は
「私も
ある日彼女にそう言われてから二人の関係は、友達から
「
「俺は
少し不貞腐れている
(
だが彼女は侮っていた、学年一位の成績を誇る
*
「
「俺はサッカーかな。ボール全然ポストに入らないし。」
(なら私もサッカーに行くべきね。)
次の授業が体育なこともあって、皆着替える為に移動する。
体育の授業は男女混合で行われるので、貴重な授業内で彼にアピール出来る時間だ。
「
「どうした
「その....体操服忘れちゃって。」
「マジか。」
やられた、この女のワザと体操服を忘れやがった。
この高校は体操服は購入義務があるが、ジャージに無い。
そして今日の体育は体育館で行われ、体育館には冷暖房が入っているので、ジャージを買わない生徒も多い。(冬の時期は基本的に体育館で授業が行われる為。)
しかし
「いいぞ。でも男女で色違うから浮くかもしれないけど大丈夫か?」
「そんなの他の人は気にしないよ」
「ならいいんだが。」
「ありがとう
あの時の
その後の体育の授業は全然身が入らなかった。
視界の端でチラチラ映る
しかもサッカーの方に入ろうとしたが、人数の問題で私はバスケをやらされしまい、
*
「ジャージありがとう
「それは良かった。」
お昼休みに入り、着替え終わった生徒は各々食事をしている。
「
「う〜んなら私も教室で食べようかな。お持ち帰り出来るし。」
「了解。」
どうやら
「なら早く行かないと食堂混むわよ。」
「そうだね、行ってきます。」
「「行ってらっしゃい。」」
(
これだけは
「美味い。」
「それは良かった。」
「・・・・
「
「何かあったのか
良かった今の聞かれてなかった。
「
(
なんとか流そうとしていたが、それを
「
うんうんと頷く
周りの生徒から「あら〜」とか「もはや惚気だろあれ」とか聞こえてくる。
「
「
「え!?それなら嬉しいけど....」
そう言いながら
「横だと撫でられづらい...
「・・・構わんが。」
それを聞いた途端、待ってたと言わんばかりに彼の膝に
彼女の背はあまり高くないので、
「私の頭も撫でなさいよ。」
「・・・おう。」
優しく撫でてくる手から彼の優しさが伝わる。
「ん...んう。」
(
そのせいでまだ
「「
「「・・・・。」」
互いに顔を見合わせ、箸で料理を摘んで
「「どっちの食べるの!」
「後で自分で食べるから、二人が先に食べなよ。」
その発言を聞いていた二人以外の教室の生徒達は思った。
「鈍感にほどがあるだろ」と。
*
「またね~。」
「
「
登下校は完全に二人っきりになれるので、思う
「ほら手。」
「はいはい。」
「やっぱ
私と
「私の歩幅に合わせてくれるし、歩調も合わせてくれる。」
「昔からお前置いていくと文句言うだろ。もう抜けなくなっちまったよ。」
「日々の賜物と呼んで欲しいな。」
好きな人が私だけを見てくれている。それだけで嬉しいのが女の子というもの。
「土日は予定とかあるの?」
「う~ん無いな、つか基本的に土日は暇だからな。・・あっ明日は予定あるわ。」
「珍しいね予定入ってるなんて。」
「
「え!?」
どうやら
それは不味い。
「
「お、おう。」
一先ず釘だけ差しておいた。
*
「来たぞ。」
「はるばるお疲れ
今日は
(
その筈だった。
「このゲーム、表紙はアクション風なのに中身ホラゲーじゃねえか。」
「・・・・
SNSで話題の新作を買い、予告PVもバリバリのアクションだったのだが、実際に遊ぶとそんなことは無かった。なんならアクションシーンの方が少ないまである
「そっちに敵行ってる。」
「〇△×□~~!!!???」
最新の家庭用ゲーム機から映されるリアルすぎるモンスターに、彼とイチャイチャする思考すらも奪われ、ただ慌てふためくだけになっている。
「つ、疲れた.....」
「お疲れ
「同じく。」
丁度良いので二人でおやつ休憩することにした。
「
「それは良かった。近所に美味い店があるからそこで買ったんだ。」
二人で仲良く食べながらまったりと過ごす。
「この部屋日差しが良い具合に入ってくるせいで凄い眠くなる。」
「少し寝ても良いんだよ。」
「なら甘えようかな。」
それを確認した後に、ゆっくりと彼の体を倒して私の膝に頭を置く。
「
「どんな反応するかな...流石に口はダメだから、おでこならいいよね。」
スマホのカメラで録画機能をオンにして、実行した。
「あれ
一件の文章と動画が彼女から送られてきていた。
「どうせ
開いた動画は、二人から少し離れた場所から撮影されたものだった。
寝ている
「キスした....私もしたこと無いのに。どうしよう、取られちゃう。どうしよう。」
居ても立っても居られず、彼に連絡した。
*
「急に誘われたと思ったら遊園地とはね。」
「ダメだったかな。」
「いや
「服どうかな、あまりこういうの着ないから分からなくて。」
上着の自分の中で許せるギリギリまで肌を見せ、スカートもかなり攻めている。
「凄い可愛い。」
「ありがとう。
(
そう思うと少しだけ胸のあたりが痛い気がした。でも顔に出しちゃいけない。
「早く行こ、休日なんだから混んじゃうしね。」
「それもそうだ。」
ほんの少しだけ、いつもより彼の手を強く握りしめた。
「
「俺もだよ....二度と乗らねぇ。」
今日来た遊園地のジェットコースターはそこまで高低は強いものじゃない、それでもここまでボロボロになるのだから
「あそこのお店で休もう。」
「その案乗った。」
近くにあった屋台で飲み物を頼み、ベンチに座る。
「何頼んだ?」
「私はレモネード。
「俺はコーラ。こういう時は炭酸飲んで気を紛らわすのが一番。」
「そういえば私コーラあまり飲んだこと無いや。
「いいぞ、ほら。」
差し出されたストローに口をつけ飲む。うんよく知っている。
「
「お!せんきゅ。」
彼が私のに口をつけて飲む。
「関節キスだね。」
「!?ゴホッゴホッ、おま急に何言うんだよ。つかそういうお前も!」
「私は分かってて飲んだよ。」
ワザとらしく彼をからかう。私らしくないかもしれないけどごめんね。
「あそこ行こ。」
「鏡の迷宮か。俺ああいうの入るとトコトン迷うんだよな。」
「まぁそういう時は『右手の法則』使えばいいし。」
「それ使うのはつまらないだろ。」
そう言っても彼はちょっと興味があるのか少しだけ歩くのがはやくなっている。彼のこういうところ本当に好きだ。
「じゃあ行くか。」
迷宮の中はかなり暗く、天井の明かりだけが頼りだ。
「あっ
ふとした瞬間、彼とはぐれてしまった。
「
進んだ先が鏡だったようで頭をぶつけてしまう。
「
いつものように明るく振舞えない。
「怖い、怖いよ。」
彼の隣にもう立てない、そんな感覚がどんどん強くなっていく。
「いた!
「
「そんなの俺が出た後に全然お前が出てこないから心配でもう一度入ったんだ。」
「ありがとう。」
「ほら行くぞ。」
普段なら私から握る手を、彼から握る。
「何処にも行かないから安心しろ。」
「うん、それなら安心だ。」
今だけ後ろを向いて欲しくない。このうれし涙だけ見られたくないから。
「いや~お前がまさかあの手のタイプが怖いとは思わなかった。」
「そ、そうだね。」
本当の理由など話せる筈もなく、なんとか誤魔化すことに成功した。
「最後に観覧車乗ろうよ。」
「あぁ、時間もヤバいし早いとこ行かないとな。」
なんとか観覧車に乗る事が出来た。時間的に夕焼けを見れそうなので運が良い。
二人っきり、通学路とは違い私達以外に人は介入しない。
「
「急に言われると困るな....仲の良いクラスメイト・・・いや違うな、難しいな。」
考える彼を見て、よりズキズキと胸が痛む。
(やっぱりダメなのかな。)
そんな考えが頭を過る。それも仕方ないと思えてしまう。
「上手く言えない。でもそれをここで口にしちゃいけないと思う。」
「なんで?」
「
「変わる....どうして。」
「お前も
「プッ
そう答える貴方だから私は好きになったんだ。
「ねぇ、隣座ってもいい。」
「お願いしなくても大丈夫に決まってる。」
彼の隣に座り、窓を向こうを見る。
陽が沈む直前、眩しくて優しい光が目に飛び込んでくる。
「綺麗だな。」
「うん、綺麗。」
「疲れた~。」
「後少しで家なんだから頑張って。」
あの後、遊園地を満喫したら時間がギリギリになってしまい、急いで帰路についた。
「なんとか辿り着いた~お疲れさん。」
「お疲れ様、明日寝坊しないでね。」
「ヤバかったら起こしてくれ。」
「分かった。」
彼が家の玄関を開ける時、一つやらないといけない事を思い出した。
「
「何かあった・・・・・・・・」
私は彼の唇を奪った。
「うん!じゃあまた明日。」
「・・・ちょっと待って
「え~と....上書きかな。」
あんな事したんだから、これぐらい許されるよね。ごめんね
*
「おはよう
「おはよう
「なんかカタコトだよ
彼の手を引き高校に向かう。昨日のあれで少しは意識してくれたかな。
「おはよう。」
「おはようございます。」
教室に入れば、
「
「昨日の動画の件はありがとうございました。」
「それはどうも。」
「でもちゃんと上書きしましたので大丈夫です。」
「うわ・・がき?」
あれ、何故か
「チューしたの!?」
「チューじゃないです!キスです!!」
「じゃあ
「それは貴方が先に。」
「僕がキスしたのはおでこ!!!!」
「え、じゃあ私がやったことは....」
「なぁ二人で何話して。」
「「今は話しかけないで!」」
「あっはい。」
「なら初めてを貰ったのは私なんだから
「そういう
お互いに頭から湯気が出そうな程ヒートアップしながら言い合う。
「ならそういう貴方は
「出来る....出来ますとも!」
「先謝っておく。ごめんなさい。」
「
「分かんなくていいから、少し屈んで!」
「あっはい。」
「あむ。」
教室、他の生徒のいる中で
「・・・ぷはぁ、これで分かったでしょ
流石に先日の件とたった今の件で、
「
「ごめんなさい
気絶という方法を用いて逃げるのであった。
どうやらまだまだ二人の戦いは終わらないようだ。
貴方に恋した私とあの子は今日も攻め続ける 焼鳥 @dango4423
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