第3話 謝罪から…

「…ごめんアオ」

《どうした柊?》ワフ?

「名前を付けるときに魔を祓う力をアオに少し渡したみたい」

《どういうことだい?》ワフ?

「多分アオは悪霊とか妖怪なら祓うことが出来ると思う。でも足もう治っていると思うよ」

《なっ⁉そういえば嫌な感じはしないが何か温かいものが体の奥にあるよ。これが魔を祓う力。フフフ、ありがとう、柊。それに足まで治してくれたのだから謝る必要はないよ。むしろお礼をしなくてはいけないね。そうだね、柊、高いところは好きかい?》ワフ⁉ワンワンワンワン、ワフ?

「高いところ?嫌いじゃないけど何で?」

《まぁ見ていな》ワン ボフンッ

煙が出たと思ったらそこには普通サイズのアオはおらず、とても大きく美しい白いオオカミの姿のアオがいた。とても神々しい姿で俺は見とれてしまった。だが、すぐに我に返った。

「なっ‼アオその姿は何⁉」

《これかい?これは神格の力で大きくなったのさ》

「あれ?頭にアオの声がする」

《この姿で犬の声は周りに聞こえるからね》

「なんか念話みたいだな」

《そうだな念話という名前にしとこう。さぁ乗りな》

そう言うとアオはかがんでくれたので俺はアオの背中に乗った。そこで気付いた。

「やばいアオ!アオと俺の姿が周りに見えてしまう‼」

《心配するな柊周を見てみな。私たちの姿は見えないし声も聞こえないよ》

俺は恐る恐る周りを見てみた。ちょうど俺の学校の人が通りかかった。だが、俺たちの姿は見えていないようだ。

「ほんとだ。すごいなアオ。それで高いところってなんだ?」

《しっかり掴まっていな》

そう言うとアオはトンッと地面を軽やかに蹴り俺を乗せて空に舞上がった。俺は恐る恐る目を開けてみた。

「わぁ!すごい!」

そこに広がっていたのは沈んでいく夕日で赤く染まった空だった。

「アオすごいな。飛べたんだ。しかもアオの背中涼しいな」

《フンッ、こんなのは私にとっては普通だよ。季節によってちょうどいい温度を保っているしね。それに、柊が気に入ったならこれからも乗せてあげるよ》

「ほんとか⁉ありがとうアオ。それじゃあそろそろ帰ろうか」

《そうか…帰ってしまうのか》

「何言っているの?アオも一緒に帰るんだよ。これからは俺がアオの帰る場所になるね」

《⁉いいのかい?一緒に帰っても?》

「当たり前じゃないか。アオは俺と一緒にいてくれるんだろ?」

《そうだな。これからは一人じゃなくてもいいのか》

「そうだよ。俺のいる場所がアオの帰る場所」

《そうか。ありがとう。柊。ではどこに向かえばいい?》

「このまま向かってくれるの?じゃああの黒い瓦屋根見える?あそこが俺の家。あそこ庭広いからこのまま降りられるはずだよ」

《あそこだな。わかった。では向かおう》

「それと、アオの他にも動物の家族がいるから仲良くな」

《そうなのか?仲良くしたいが…私にできるかね?》

「きっと大丈夫だ。俺の家族いい子しかいないから」

《フフフ、それは楽しみだ》

そうして俺はアオと一緒に家に帰った。

帰ったら家族の動物『達』とアオどちらも驚いたことは言うまでもない。

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