第5話「転生サムライ、呪縛を破る」
仕官したサムライには、主君を表す
それは日本刀の
制作者の知識が
竜は俺に
触れると……別に
身体の動きにあわせてかたちを変えるから、
これは竜の
『
その中には能力アップもあった。
だから、竜がステータスに
たぶんあの竜は、俺のステータスに『竜の養子』という
「……ありがとう。銀竜さま」
俺はもう一度、空に向かって手を合わせた。
銀竜は俺が望む以上のものをくれた。
俺も、やるだけのことはやったんだ。あとは自由に生きていこう。
自由になったら『NDO』の世界をじっくり楽しみたいと思っていたからな。
まずは冒険者ギルドで新しいクエストを受けよう。
自分自身のために、自分が受けたいと思っていたクエストを。
すべてはそれからだ。
そして翌朝、俺が冒険者ギルドに向かって歩いていると……。
「遅せぇよ! なにしてたんだ。ケイジ!!」
「貴族を待たせるなんて礼儀がなってないんじゃないか?」
「これでなにかあったら、あんたの責任だからね!」
ギルドの建物の前で、ジーノとレヴィンとマチルダが待ち構えていた。
朝一番で見たくない顔だった。
「あのさぁ、ケイジに頼みがあるんだよ」
肩を組もうとしてくるジーノ。
俺はそれをかわして、距離を取る。
ジーノは
「実はな、兄貴が
彼はすぐに、歯を見せて笑った。
「これを
「そうなんだ」
俺はうなずいた。
「じゃあ、がんばってくれ」
「……ああん?」
「いいと思うよ。がんばってパーティを開けばいいんじゃないかな」
「馬鹿かてめぇは!!」
ジーノは
「パーティを開くには金がいるんだよ! なんでそれくらいのことがわからねぇんだ!?」
「ジーノが次の
「あたしの家だって、名ばかり
ケヴィンとマチルダが声をあげる。
ここは冒険者ギルドの前だ。
まわりには冒険者たちがいて、俺たちをじっと見ている。
朝だから、通行人も多い。
でも、ジーノたちには気にならないらしい。
「そこでケイジに頼みがあるんだ。一緒にAランクのクエストに挑戦しようぜ!」
「Aランク?」
「ハイロゥ・ダンジョンだよ!!」
ハイロゥ・ダンジョン。
強力な魔物が巣くうという高難度ダンジョンだ。
上層部の危険度はA。下層の危険度はSを超える。
もちろん、得られるものも大きい。
下層の魔物の素材を換金すれば、金貨数十枚になるそうだ。
ただ、あのダンジョンの魔物は魔法が効きにくいらしいけど。
「あのダンジョンは物理攻撃が
「馬鹿か!? 他の面子がいたら、オレたちの取り分が減るだろうが!」
「魔法が効かない敵がいるんだが?」
「ケイジががんばればいいだけだろ!?」
「無理だよ」
俺は
「これまで、俺はお前たちに協力してきた。お前たちにも助けてもらった。でも、危険度Aのダンジョンにまでは付き合えない」
これくらいの
俺だって
まあ……魔物と戦ってたのは俺だけど。
それでも、竜に話を聞いてもらえたのは、ジーノたちのおかげでもあるんだ。
「それに、ジーノたちにAランクダンジョンは無理だよ」
「……なんだと?」
「
「ふざけてんじゃねぇぞ!!」
ジーノは地面を踏みならして、叫ぶ。
「なにを偉そうな口を利いてるんだ、てめぇ!? これまでオレたちに従ってきたくせに!!」
「いや、別に従ってなかったけど?」
「なんだと?」
「俺はお前たちと対等のつもりだった。そりゃ『
俺はジーノたちを見据えて、告げた。
「お前たちとパーティを
「てめぇ、覚悟しろよ」
ジーノが腰のナイフに、手をかけた。
「サムライが貴族にそんな口をきいていいと思ってんのか!?」
「サムライなんて僕たちの
「あーあ、しーらない。ジーノを怒らせた。自己責任!」
3人はじっと、俺を見ている。
それから3人は口をそろえて──
「「「──そこに正座しろ!! 『
「…………」
「「「………………」」」
「………………」
「「「…………………………!?」」」
「……もう行っていいか?」
「「「!!!!???」」」
なにも起こらなかった。
身体は、自由に動く。勝手に正座したりはしない。
「ありがとう。『告知の』──」
……いや、『告知のドラゴン』とは呼びたくないな。
ありがとう。養父さま。
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