吸血鬼転校生は私の血が吸いたい

白藍そら

第1話 不思議な転校生

憂鬱な二学期が始まった。夏休みは長いようですごく短い。

ホームルーム前、教室は夏休みの話題で持ち切り。あいにく私はみんなに自信満々に話せる出来事を持ち合わせていない。

机に肘をつきながら、八時半を待った。


チャイムがようやく鳴り、全員席に着く。

先生が誰か連れてきたようだ。転校生。


「初めまして、引っ越してきました平原あゆむと言います。よろしくお願いします。」


はきはき喋る男子だ。身長がとても低い。私よりも低そうだ。童顔で中性的な見た目。取り替えてほしい。


席は私の隣になった。王道展開すぎるが私は嫌じゃない。


「よろしくね。」


会釈だけしてくれた。


―――――


一週間経ったが、不思議な子だ。

数学が得意で英語が苦手。字が汚いのに机の整理整頓は完璧。話さないのにみんなと仲良くなっている。

私の席の周りの雰囲気が変わった。


いつの間にか私は平原君に夢中になっていた。


―――――


日がもうすぐ暮れそうな帰り道、通学路で平原君を見かけた。気が付いたら私はつけていた。

公園に一人で何の用だ?


茂みに無表情で踏み入る。暗くてよく見えないのでもっと近づいた。

恐る恐る足音を立てずに。


カサッ


やらかした。



そこにはねずみにかぶりつく何かがいた。

赤い目に鋭い八重歯。口には血を垂らしている。私に気付いた。


やばい逃げっ


何かに掴まれ、身体が動かない。手が動くと茂みの奥に引き込まれた。


「だっ、誰だ!」


「平原君?」


暗闇の中にいたのは変わり果てた平原君だった。

すると焦った様子でねずみを放り投げて私に言った。


「お…お願い…秘密にして。」


気づいたら、私は自分の家の前にいた。

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